リーガルエッセイ
公開 2020.04.07 更新 2021.07.18

受動喫煙対策強化!改正健康増進法と東京都受動喫煙防止条例全面スタート

記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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4月1日、これまで段階的に施行されてきた、改正健康増進法と東京都受動喫煙防止条例がどちらも全面的に施行されました。
わたしは、嫌煙家で、ちょっとのたばこのにおいにも過敏に反応してしまうので、この改正法の動向には注目してきました。
今回は、この法律、条例のちがいに注目しながら、内容を見ていきます。

法律と条例の違い

改正健康増進法も東京都受動喫煙防止条例も、非喫煙者、未成年者、妊娠されているかたなどの健康を守るという目的は同じです。

でも、改正健康増進法と東京都受動喫煙防止条例とでは、内容に異なっている点があるのです。
主な違いは2つあげられます。

1つ目は、高校生以下の未成年者のための施設にかかわる規定です。

改正健康増進法でも、東京都受動喫煙防止条例でも、小学校、中学校、高校、保育所、幼稚園の施設内では全面禁煙という点は同じです。

違うのは、改正健康増進法では、そのような施設の屋外に喫煙所を設けることは可能になっている一方で、東京都受動喫煙防止条例では、そのような施設の屋外に喫煙所を設けることも禁止されている点です。

2つ目は、飲食店での喫煙ルールについてです。

改正健康増進法では、「個人または中小企業(資本金または出資の総額5000万円以下)かつ客席面積100㎡以下の飲食店」については、猶予措置として、喫煙可能な場所である旨を掲示することにより、店内で喫煙可能としています。
すでにある飲食店のうち経営規模が小さい店については、直ちに喫煙専用室などの設置を求めることが酷ともいえるので、そのことに配慮した猶予措置です。

一方、東京都受動喫煙防止条例では、経営者以外に、ひとりでも従業員がいる飲食店については原則禁煙としています。

この主な2つの違いに注目すると、改正健康増進法よりも、東京都受動喫煙防止条例のほうが厳しい規定になっているといえます。
そして、ここには、国際オリンピック委員会が「タバコのない五輪」を推し進めていることを踏まえての、東京都の、オリンピック・パラリンピックを成功させようという意気込みが見て取れると言われています。

違反したら?

改正健康増進法についても、東京都受動喫煙防止条例についても、どのような義務違反があったかにより対応は異なります。

基本的には、違反が発覚したらまずは都道府県知事等が指導し、それでも改善が見られなければ命令、勧告等をし、それでも改善が見られない場合には罰則が適用されるという段階的な対応をとります。

ここでいう罰則というのは、過料のことです。
過料というのは、お金を払わなければならない罰ではあるのですが、刑事罰とは違います。
過料となったとしても、前科はつきません。

他の自治体にも広がる条例制定

 受動喫煙防止条例制定の動きは他の自治体にも広がっています。
千葉市においても、4月1日、従業員を雇う飲食店では原則として店内禁煙とする条例を施行したと報じられました。
報道によれば、千葉市は、飲食店を見回る担当者を増員したほか、市民がLINEで違反を通報できるしくみを導入して条例の実効化を確保するとのことです。

改正健康増進法の全面スタートを受け、今後、地域ごとに、法律で定める規定よりも厳しい内容の条例制定、施行の動きが進む可能性があり、また、それぞれ、条例で定める内容を実効化するため、どのような方策がとられるのか、自治体の動きが注目されます。

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