リーガルエッセイ
公開 2021.03.05 更新 2021.07.18

企業の不祥事が発覚したらどのように対処しますか?

記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら

不祥事発覚!そのときは弁護士兼公認不正検査士にご相談ください

私は弁護士ですが、実は、もう一つ資格を持っています。
公認不正検査士という資格です。
公認会計士と字面は似ていますが、全然違います。
公認不正検査士というのは、アメリカのテキサス州に本部があるACFEが認定する資格で、不正の防止、発見、抑止の専門家です。
組織の内外で発生する不正から組織を守るための仕事を専門とする国際資格なんです。
私は、弁護士になる前は検察官でした。
とにかく、証拠集めが大好き、証拠の分析が大好き、取り調べが大好き、事実認定が大好き、尋問も大好き、かつ、得意としているところなので、これを弁護士としても生かして仕事をしたいという思いで、約6か月間、弁護士の仕事を終えた後、深夜零時以降毎日睡魔と激闘を繰り広げながら勉強して昨年獲得した資格です。
そして、この資格を持ち続けるためには、常に最新の高度な知識を維持することを求められており、具体的には、毎年、相当な数の高度な研修を受講することが義務付けられています。
正直、ものすごく大変です。
でも、顕著に自分のスキルアップにつながるからものすごく楽しい。
私も、専門研修を受けて日々訓練し、自身の業務に取り入れるポイントを探る毎日です。

企業によっては、4月1日付で人事異動というところもあると思います。
後任者が前任者から引き継いだ資料を確認する過程で前任者による不正が発覚するということがあります。
もちろん、異動時期にかかわりなく、社内通報窓口に寄せられた情報がきっかけとなったり、現場で働く社員が感じた違和感がきっかけとなったり、不正をした者の逮捕がきっかけとなったり、さまざまなきっかけで不正が発覚することがあります。
このような企業内不祥事に関し相談を受けたり、ご依頼を受けたりすることがありますが、その際よく聞くのが「まさかうちでこんなことがあるとは・・・」という言葉や「もうこの対応で社内がバタバタです・・・仕事にならない・・・」という言葉。
不正が発覚するときは突然です。
通常業務がある中で、これと並行して、突如発覚した不正について、調査して適切な対応をすることがどれだけ大変なことか。
いったい何から調べればいいのか、この情報をどこまで知らせるべきか、調べた結果をどう分析すればいいのか、うまく調べられるか、などバタバタになって当然です。
もちろん、そもそも不正が発生しないためにどうするか、という予防の体制を整えることが何より大事です。
ただ、それがなかったり、あっても機能していなかった結果生じてしまった不正。
不正が発覚したとき、まずどうしますか?
とりあえず、不正をしたと疑われる対象者を呼んでヒアリングしますか?
本当に、どんな案件でもいきなり不正をした疑いのある者にあたっていいのでしょうか?
どのように質問しますか?
こちらの把握している内容をぶつけて回答を待つのでしょうか?
録音はしていいのでしょうか?
対象者から録音したいと言われたら?
ヒアリングにはだれを同席させますか?どんな場所でやりますか?
対象者が、こちらが把握している事実を認めないときはどうしましょうか?
ヒアリングするのは不正をした疑いのある対象者だけでいいのでしょうか?ほかの人からもヒアリングするとして、ヒアリングが必須となる人はどの範囲の人?
そもそも、ヒアリングの前にすべきことはないでしょうか?
そして、この不正に関して方針を立て、調査の結果を共有していくべきチームはどのようなメンバーにすべきでしょうか?
発覚と同時に公表すべき先がありますか?公表はどのタイミングでどのような内容で行うべきでしょうか?

これらひとつひとつについて、迅速に、適切な選択、決断をしていく必要があります。
選択、決断にミスがあった場合、浮かび上がった不正の疑いはうやむやなまま事実が解明されない事態となってしまったり、不正の根っこが今後も存在し続けることで次の不正にエスカレートしてしまい、最終的に企業の価値を大きく侵害する事態となってしまったり、また、過去にも多く報道されている事例がありますが、対応が後手後手になることで発覚した不正を組織ぐるみで隠ぺいしようとしたと評価されてこれがレピュテーションリスクとなってしまったりすることがあります。
不正が発覚したら、まず、今後、どのような順序で何をしていけばよいか、適切な方針を立て、その方針に向けて迅速に的確に動く必要があります。
もちろん、そのような有事に備え、マニュアルが整備されており、それに従って淡々と動けば問題ないという場合はいいでしょう。
とはいえ、そのような体制が整っていないケースも多いと思います。
発覚してしまった不正による企業価値のダメージを最小限にするために、ぜひ、弁護士に相談することをお勧めします。
そして、企業内不祥事に関しては、発覚した不正について何とかおさめたらそれで終わり、というものではありません。
調査した内容を踏まえ、起きた原因を分析し、再発防止策を立て、これを実践していくとともに、社内における不正の発見体制も改めて整える必要があるでしょう。
弁護士は、このすべてをトータルでサポートし、不正の発覚というネガティブな出来事を、企業価値の棄損に終わらせず、その回復、向上のために何をすべきか考え、実践のお手伝いをすることができます。
これからも、企業内不祥事について、少しずつ連載を進めていきます。

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