リーガルエッセイ
公開 2020.09.29 更新 2021.07.19

8月の自殺者が前年度の同時期より増加

記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら

最近、芸能人のかたがお亡くなりになったという報道とともに、そのお亡くなりになった原因について自殺の可能性を示唆する報道をよく見るように感じます。
実際のことは何もわかりません。
でも、先日、警視庁の速報値では、令和2年8月の自殺者が1849人となり、前年の同じ時期に比べ246人増え、増加率が15.3%となることが報じられました。
厚生労働省は、この警視庁の速報値のみでは自殺者が増加に転じたとまで現時点では断定できず、さらには、仮に増加傾向であったとして、そこに新型コロナウイルスの感染拡大が影響していないかについては今後調査が必要であると説明しているとのこと。
今後の調査結果に注目していきたいと思います。

夫婦不和も要素 弁護士として何かできることはないだろうか

厚生労働省自殺対策推進室が公開している、令和元年における自殺の状況についての調査結果を見てみました。
そこには、自殺の原因という項目があり、たとえば、学校問題が何%、勤務問題が何%、健康問題が何%、などとして、いったいどのような原因がどの程度の割合を占めているのかということを示すグラフがありました。
この原因の特定、実際どのようにしてなされたのかはわかりません。
いったいどのように特定したのかな、と思いませんか?
遺書などで、なぜ自殺を考えたのか、ということが明らかになっていることもあるかもしれません。
でも、そこに書かれたことが果たして真実なのかというと、そうとばかりはいえないのではないかと思うのです。
大変な精神状態だったはずです。
そのようなときに、これが原因だと、ご自身の心の中が正確に言語化できるかというとそうとばかりは言えないように思います。
また、遺書がないということもあります。
その場合に至っては、そのかたの置かれた状況、お亡くなりになった後周囲からヒアリングした結果などから、これが原因だろうと事後的に他人が推測するのかもしれません。
そうなると、それが真実かどうかなんて全くわかりません。
ですので、実際、自殺の原因としてはどんなことが多いのか、ということについて、私は、全くわからないと思っています。
もしかしたら、ご本人さえわからないということもあるかもしれません。
でも、もし、このグラフで、ひとつの原因として挙げられていた「夫婦問題」ということが実際にも原因のひとつになっているのだとしたら、そのことについて、弁護士として何かできるのではないかと思わざるを得ません。
もちろん、弁護士が、そのかたの抱えるすべての夫婦問題を一挙解決することなどできません。
最後はご自身の力だと思っています。
でも、何に悩んでいるのか一緒に考えたり、その悩みにはどういう解決方法が考えられるかをお話しし、必要であれば、そのかたの代理人となって、一緒に解決に向けて伴走することができます。
その過程で、解決の先をお見せすることができます。
先ほどの厚生労働省の自殺対策推進室の資料に、そもそも、自殺に至る原因としては、健康問題、学校問題、夫婦問題等いろいろな要素が考えられるが、それらの複数の要素が連鎖していることが多いという説明がありました。
そのような面はあるように思います。
だからこそ、あれもこれも、次々に頭に浮かんで、どうにも出口の見つからない気持ちになってしまうこともあるかもしれません。
でも、そこで、ひとつひとつの問題をほどいていけば、この問題はどこに相談したらいいかということが見えてくるはずです。
ご心配なことの中に、夫婦問題、男女問題、労働問題、学校問題などが含まれているのではないかと思える場合、弁護士にも相談してみてください。
そこから何かが変わるかもしれません。
おひとりおひとりの声を大事に受け止め、ご不安について一緒に考えさせていただきます。

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