リーガルエッセイ
公開 2020.08.31 更新 2021.07.18

レジ袋有料化で万引きが増えている?

記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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7月から始まったレジ袋有料化。
7月以降、エコバッグを持ち歩くかたが急に増えましたよね。
私も、7月以降、エコバッグを使い始めたのですが、買い物から帰ってきて、エコバッグを手洗いして外に干し、そのまま取り込むのを忘れたまま買い物に行ってしまい、レジでのお会計段階でそれに気づいてレジ袋を買うというパターンからなかなか抜け出すことができずにいます。

そんな中、先日テレビで、多くのかたがエコバッグを利用するようになり、万引き被害の増加を訴えるスーパーが増えているというニュースを見ました。
これまでは、エコバッグ利用者がそれほど多くなかったので、店内で、レジ袋でない家から持ち込んだバッグを持ち歩くこと自体もそれほどよくある光景ではなかったし、そこに直接商品を入れるということは、それをするほうもハードルが高かったでしょうし、周りから見ても違和感があったといえそうですよね。
今、店内で自分の持ってきたバッグを持ち歩くこと自体は多く見られるようになり、これに乗じてエコバッグに商品を入れ、そのままレジを通さずに店外に出るという万引きが増えているようなのです。
同時に、実際にはきちんと会計をしたのに、お店の側から、万引きを疑われ、「その商品はお会計がお済みですか」と問われる事態もあるとのこと。
たしかに、これまでには、レジ袋に入っていれば会計が済んでいるのだなと思われたところ、商品が直接エコバッグに入っている場合、外形上、会計が済んでいるかどうか見分けがつかず、万引き増加の実態も踏まえ、お店の側からして警戒されるのもわかります。

万引き被害 客の立場、店の立場それぞれどうしたらいいか?

客の立場から万引きを疑われないためにできることを考えてみます。
できるだけ、エコバッグを出すタイミングはレジの会計時にする、会計をしたらレシートを受け取って家に着くまで捨てないでおき、お店から声をかけられたらいつでも示せるようにしておくなどの方法が考えられますよね。

私は、いつものスーパーで買い物をしたものの、そこに、欲しかった物がなくて、別のスーパーをはしごするということがよくあるのですが、そのようなとき、エコバッグの中に、最初のスーパーで買った物がすでに入った状態なわけで、その状態で、別のスーパーに入店することにちょっと躊躇があります。
最初のスーパーで会計したときのレシートを持っていれば多少誤解は防げるのだと思いますが、私は、万一にでも万引きを疑われてはいやなので、少し面倒ではありますが、スーパーをはしごするときは、二軒目のスーパーに入店する前に、スタッフのかたに、「ほかのスーパーで買い物した商品がエコバッグに入っているのですが、これ、お預けしてから買い物したほうがいいですか?」などと念のため尋ねてから入店するようにしています。

お店の側で万引き被害をなくすためにとることのできる方法としては、予算の問題もありますが、やはりできる限り死角を作らずに店内を監視できる防犯カメラを設置し、そのことを周知すること、また、店内各所に、「エコバッグを利用しての万引きが増えているため、お声をかけすることもあると思います。万引き被害をなくし、お安く商品を提供するためにご協力をお願いします」などというポスターを目に付くように貼っておくことなどが考えられると思います。
お店の側が、エコバッグ万引きの増加を受けて警戒しているということを周知することが一定の効果を発揮するのではないかと思います。

買い物に行く側も迎える側も、互いに「万引き犯と間違われるのではないか」「万引き犯ではないか」と警戒心を持ち合っているようでそのような状態はちょっと寂しい気もしますが、現に万引きが増え、また万引きを疑われるトラブルも増えている以上、これを防ぐためにどういう工夫ができるか考える必要がありそうです。

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