未成年への強制わいせつ、深い反省と示談成立により実刑回避へ。
ご相談までの経緯・背景
Aさんは妻Bさんと3年前に結婚し、Bさんの連れ子の姉妹2人と4人で暮らしていました。一見幸せそうな家庭に見えますが、AさんとBさんは夫婦関係があまりうまくいっていないという事情がありました。
そんなある晩、酒に酔って帰宅したAさんは、姉妹の寝室に向かい、二人が寝ていると思って、つい長女の体を触ってしまいました。しかし、実は長女は起きていて、触られている間寝たふりをしていただけでした。
不快に思った長女は、Aさんが部屋からいなくなるとBさんのもとに行き、Aさんがしたことを打ち明けました。BさんがAさんを問い詰めたところ、当初Aさんははぐらかしていたものの、のちに罪を認めて謝罪しました。
しかし、Aさんの話の中から、Aさんが姉妹に対して同じようなわいせつ行為を繰り返していたことがわかったことで、Bさんは警察に通報し、Aさんを告訴しました。
Aさんが強制わいせつ容疑で拘留されたことで、事態を案じたAさんの父が当法律事務所に相談にいらっしゃいました。
解決までの流れ
被告人が自分の犯罪を認めている場合、情状を酌むべき事情があるかどうかが争点となり、本件では以下のような要素が考慮されました。
◆ 被害者が未成年であること
被害者が未成年であることは、本罪においては悪質性が高いと認定されてしまう要素となってしまいます。また、民事において当事者間で示談をする際にも、未成年は法律行為をすることはできないので、法定代理人である親権者が交渉をすることになります。
そこで、弁護士はBさんとの間で示談の交渉を進めることになりました。
◆ 示談に向けての交渉
強制わいせつ罪は6か月以上10年未満の懲役刑が科されますが、実際にどの程度の量刑が科されるかは、判決までに示談が成立したかどうか等、示談に向けての被告人の対応が、大きく関わります。
この事件をきっかけに、AさんとBさんは離婚することとなりました。弁護士は、この離婚に伴うAさんから妻としてのBさんへの解決金等の問題と、長女の法定代理人であるBさんとのわいせつ被害の賠償の問題を一括で進めることで、早急に示談の交渉をまとめようと考えました。
◆ 誠意ある反省
加害者が誠意をもって反省し、被害者に謝罪していることも量刑を左右する重要な要素となります。
Aさんは被害者である長女、妻のBさんに対して直筆の謝罪の手紙を書き、もう二度とこのような行為を繰り返さないこと、そして姉妹とBさんに近づかないことを誓いました。
結果・解決ポイント
起訴されたAさんには次の要望があったため、弁護士はこの要望に応えるべく弁護活動を行いました。
自分の罪を認め、被害者にきちんと償いたい
弁護士は刑事裁判でのAさんの弁護と同時に、Bさんとの被害弁償の示談、離婚に伴う解決金の交渉を進めました。そしてAさんとBさんは、400万円を解決金としてAさんがBさんに支払うことで合意しました。
そして、裁判所は、Aさんは強制わいせつ罪で懲役1年6ヶ月の判決を言い渡しました。しかし、裁判所は民事的な示談が成立していることやAさんが真摯に反省していることを考慮し、実刑ではなく執行猶予3年の判決を下しました。その結果、Aさんは実刑になることを回避できたのです。
示談の成立は、量刑の上で重視される考慮要素の一つでありますが、専門的な知識と交渉が必要とされる場面でもあります。このような場面に、弁護士が介在することで解決の糸口がきっと見つかります。お困りの際はぜひ弁護士に相談してみるとよいでしょう。
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