リーガルエッセイ
公開 2022.04.15

被害を事前に防ぐために。消費者庁の注意喚起に注目すべき理由

被害を事前に防ぐために。消費者庁の注意喚起に注目すべき理由
記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら

「簡単な作業でだれでも稼げる」への注意喚起

私は、長年にわたり、プライベートにおける判断能力に若干の不安がありました。
「3か月間でだれでも魅力的な女性になれます」
「1か月間でだれでも10キロやせられます」
「1週間でだれでも本を読むスピードが10倍になります」
のような、「だれでも短期間で~できるようになる!」という謳い文句に心が揺れがちな傾向がありました。

ですから、このたびの消費者庁の注意喚起もとても他人事ではありません。
そして、18歳、19歳の成年のかたを始めとする多くのかたにも自分事として受け止めて頂きたいなと思える内容です。

消費者庁は、簡単な作業をするだけで『誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができる』などの勧誘で『副業』の『マニュアル』を消費者に販売した事業者に関する注意喚起を公表しました。

このような勧誘をして情報商材を販売していた6事業者名も公表されています。

この公表は、「消費者安全法」という法律に基づくもの。

消費者安全法では、消費者事故等の発生について情報を得た場合、それによる被害の拡大や、同じような事故の発生の防止を図るため、必要な情報を公表するものと定められています。

今回の公表は、この法律に基づく消費者への注意喚起です。
つまり、似たような被害に遭うことが想定されるから、ぜひ気を付けてほしいという訴えです。

今回、注意喚起の対象となったのは、副業マニュアルの販売です。

どんな手口で消費者に販売していたかという具体的な手口が消費者庁のHPで公開されています。
簡単にまとめると、こんな感じだそうです。
自分に置き換えて想像してみてください。

会社員としての収入だけでは欲しいものが買えず、満たされない生活を送っていたAさん。
副業でもしてみようかなと考え、スマホで「副業」と検索。
副業の広告が表示。
そのランキングサイトにアクセス。
すると、みんなの満足度ランキング1位、10万単位の高額報酬、1日15分だけの作業、もちろん初心者もOKという謳い文句が並んでいる。

Aさんは、早速、そこに貼り付けられているLINEアカウントを友だち登録。
すると、Aさんあてに、トーク画面からメッセージが送られてくる。

そこには、サイトに登録し、短時間のコピペ作業をして、あとは待っていれば翌日2万円以上が振り込まれる、などと書かれている。

やるべきことが具体的に、シンプルに書かれていて、それさえやれば、あとは待つだけで1日2万円以上のお金が振り込まれるなんて。

そのマニュアルの販売価格は2万円。

メッセージによると、それは1日だけ簡単な作業をすれば回収できてしまう金額。

Aさんは、このマニュアルを手にすれば、簡単にお金が稼げると考えて、申し込み、2万円を払います。
しかし、実際に届いたのは、メッセージで案内されていた内容とはまるで違う仕事の内容が書かれたマニュアルなのです。
さらに、そこに書かれた仕事を遂行して売り上げを作ることが現実的に難しいという内容。

今回公表された事業者は、このような手法で少なくとも約1万8000人にマニュアルを売り、3億8000万円を売り上げたとされています。

払ったお金を返してもらうための方法がないわけではありません。
その態様により、クーリングオフの利用、消費者契約法などの法的手段はあり得るし、自分にどのような選択肢があるかは考えるべきところです。

でも、事後的な対応はなかなか大変です。
ご自身ではわからないところを専門家に相談したり、お仕事やおうちのことなどで忙しい中その対応に割ける時間もなかなかないかもしれません。
返金の請求をしたとして、それが功を奏するかも確実とは言えません。
だから、何より大事なのは、事前に被害を予防することです。

予防のために大事なことは、今回公表されたような事例を具体的に知ること。
それによって、敵が、どんな手口で自分に近づいてくるか、どんな言葉に注意する必要があるのかを具体的に知り、すでに起きた具体的な被害を自分事に落とし込むことだと思います。

消費者庁の注意喚起に注目です。

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