リーガルエッセイ
公開 2020.09.28 更新 2021.07.19

闇バイトは犯罪 「ぎりぎり合法」ではない

記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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なぜ闇バイトが横行するのか、原因は?

以前、こちらのエッセイで闇バイトについて取り上げました。
その後も、SNS上の闇バイト募集の投稿にメッセージを送ったことがきっかけとなり特殊詐欺、放火などの罪を敢行したとして逮捕されたという報道を目にします。
今回は、なぜ闇バイトが横行するのか、その原因について考えてみたいと思います。

犯罪の主導者にとって、SNSでの闇バイト募集は好都合

闇バイトが横行する原因は、端的に、募集する側のニーズ、応募する側のニーズがうまく合致してしまうことにあると思います。
まず、募集する側のニーズについて考えてみます。
犯罪を犯して金を奪い取ったりだまし取ったりしても、最終的に自分が捕まってしまっては意味がありません。
そこで、犯罪を主導して金儲けをしようと考える者は、まず、実行役として金を奪い取ったりだまし取ったりする者を集めることを考えるでしょう。
ただ、ここで、自分の知り合いを仲間にした場合、その仲間が逮捕されれば、もともとの人間関係がありますから、仲間の供述を通じて自分も捜査対象になり、芋づる式に逮捕されるおそれがあります。
仲間としても、自分に声をかけた上の立場の者の名前を言わなければ、自分が首謀者として重い刑を科せられてしまうかもしれない。
そうなると、自分に声をかけた犯罪を主導する立場の者のことを詳しく話さざるを得ない場合が多いと言えるでしょう。
このようなことが容易に想像できるので、犯罪を主導する立場の者は、名前や住所など、自分を特定するための情報を知らない者を仲間として引き入れたいわけです。
その手段がSNSです。
SNSであれば、もともとの人間関係がない者たちを、その者たちに、自分の素性を明らかにしないまま、会うこともせずに仲間に引き入れ、犯罪を実行させつつ、金の分配を受けることができます。
万一、その実行役が逮捕されても、自分のことを知らないのだから、警察からいくら問い詰められようと話しようがないのです。
だから、犯罪を主導する者にとって、SNSで闇バイトを募ることは好都合だといえるでしょう。
SNSで闇バイトを募ることは、実行役を確保しつつ、逮捕によるリスクを回避できる可能性のある方法という意味で募集する側にとってメリットがあります。

「手っ取り早く金を稼ぎたい」 闇バイトは応募者にもメリットが

一方で、闇バイトは、応募する側にとっても、手っ取り早く金を稼ぎたいというニーズにマッチしています。
特に新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、例えば、アルバイト先飲食店の経営が悪化し、アルバイト収入が得られなくなった若者等も多くいるといわれており、そのようなかたが手っ取り早く金を稼ぎたいというニーズはより高まっているといえます。
また、闇バイトの募集は、SNS上で行われることが多いですが、その投稿は、違法性を否定するかのような文言があったり、問い合わせに対し、「検挙などのリスクがない」旨回答されたり、「まずい仕事かもしれないな」という直感を打ち消してくれるような説明があることが多いため、自分をだましながら、心理的ハードルを低く行うことができるともいえます。
どこかに、「ちゃんと自分は確認して、違法でない、と説明を受けたんだ」という自分への正当化要素があるように思います。
応募する側にもメリットがあるといえるでしょう。

このような双方のニーズが合致し、コロナの情勢もあり、その数は増えているのだと思います。
以前にも取り上げたように、闇バイトの実態は、そのほとんどが犯罪だと言って間違いありません。
しかも、実行役は、一番、逮捕される確率の高い役割だといえます。
仮に逮捕されなくても、1回きりで終わらせようと思っても、一度手を染めてしまうと、犯罪グループ側から「お前はすでに共犯者だ」と脅されるなどし、犯罪から抜け出すことができなくなることもあります。
「闇バイト」という、どこか、「ぎりぎり合法」であるかのような呼称にだまされず、犯罪であるという正しい認識が必要になります。

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