リーガルエッセイ
公開 2020.07.07 更新 2021.07.18

「M資金」詐欺で逮捕

記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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先日、「M資金」をうたい、巨額の資金提供を持ち掛け、会社役員から1億円以上ものお金をだまし取ったという被疑事実で3人の男性が逮捕されたと報じられました。
この件につき、男性らが被疑事実を認めているか、証拠上詐欺が認められるかは報道だけからはわかりませんが、今回は、この、M資金詐欺についてとりあげてみたいと思います。
みなさん、M資金詐欺という言葉を聞いたことはありますか?
(私は、20年近く前になりますが、検察官になりたてのころ、M資金をうたった詐欺の事件を担当しましたが、その際、M資金とは何か知らず、先輩から叱られた苦い思い出があります。)

M資金詐欺とは、「終戦後、GHQが日本から財宝や資産を接収し、その一部を今でも極秘に運用しています。こうしてできた秘密資金がM資金です。この秘密資金を原資として、特別に選ばれた人に融資しています」とうそを言って、融資仲介手数料等の名目でお金をだましとるものです。
仲介手数料と言っても、融資金額として伝えられる金額が巨額なので、その融資金額の1%でも億単位になることも多くあります。
もちろん、融資は実行されず、仲介手数料名目で渡したお金をだまし取られて逃げられてしまうのです。

今後被害が増えるとの指摘も

先日、この記事に、「コロナ禍でM資金詐欺が復活」という旨の記載もあったのですが、今回逮捕された被疑事実でいえば、コロナ禍とは無関係な数年前の被害についてなので、これだけをもってコロナと結びつけることはできません。
しかし、コロナ禍を背景に、今後M資金詐欺が増えるかもしれないとの指摘もあります。

M資金詐欺は、今、こういう場で話を聞くと、「そんなわけのわからない話、あるわけないじゃないか?」「自分なら絶対に信じない自信がある!」と思うかたもいると思います。
でも、このコロナ禍を背景に、仕事をなくしたり、経営難に直面しているかたが、まだまだ新規感染者数が減らないどころか増えていく現状に将来を不安に思う中、1対1で、「ほかの人には絶対言えない特別な話」として他への相談も遮断され、それらしい資料などを見せられながら融資の話を持ち掛けられたら、わらにもすがる思いでその話を信じるということもあるのではないでしょうか。
以前、新型コロナウイルスに便乗した詐欺についてこちらのエッセイでもとりあげましたが、仕事をなくしたり、経営難に直面したりして、わらにもすがる思いのかたの心理状態につけこみ、コロナ情勢をだまし文句にたくみに取り込みながらM資金詐欺を敢行するという手口が出てくるかもしれません。
詐欺を企てる人たちは、日々起きているニュースなどをもとに、それを取り込みながら、話に信ぴょう性を持たせてきます。
わらにもすがる思いでいるときに、その信ぴょう性について冷静に判断することは難しいことですよね。
相手の話を1人で聞いて、1人で判断してしまわずに、ちょっとイレギュラーな話がふってわいたというときは、家族、知人、消費生活センターなどに相談し、他者の目を入れながら、うそに気付くきっかけを得る機会を作ることが何より大事なことだと思います。

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