リーガルエッセイ
公開 2020.05.27 更新 2021.07.18

マスク高額転売で初摘発

記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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先日、こちらのエッセイでマスクの高額転売が規制されるようになったという話をとりあげました。
マスク転売は禁止?

簡単に振り返りますと、国民生活安定緊急措置法という法律では、内閣が制定するルールである政令に委ねて、特定の生活関連物資の譲渡を禁止することができるのですが、3月15日からマスクがその譲渡制限の対象になったという話でしたよね。

そして、このたび、インターネットを通じて購入したマスクを取得価格の2倍近い価格で転売したとして衣料品販売を営んでいる人が書類送検されたと報じられました。
マスクが譲渡制限の対象になって初めての摘発だとも報じられています。

今回の摘発、ルールができてからずいぶん早い適用だなと思いませんでしたか?
私が担当している案件でも、警察官から、新型コロナウイルスの感染が収束とはいえない今の状態では、関係者に警察署に来てもらって感染させてしまってはいけないから捜査を進めるタイミングにも慎重になっているという話を聞きました。

そして、マスクの転売に関しては、初めての摘発事例ともなると、その着手はさらに慎重に進められるのが通常だと思うのです。
これまでに例がないわけですし、初摘発となると当然注目も集まります。
警察としても、立件したものの、証拠が不十分で処分ができませんでした、という事態は避けたいと考えるでしょう。

ただ、一方で、マスクの高額転売を禁止することについては、タイミングが重要です。
マスクは徐々に店頭でも見かけるようになりましたし、手作りマスクの作り方なども広く知られるようになりましたが、まだ品薄の状態は続いています。
そして、ルールを作っても、それに違反した人に対しペナルティの適用がないとなれば、徐々にルールは形骸化してしまい、定めた意味がなくなってしまうでしょう。
そのような意味で、ルールに違反すれば警察はそれを見逃さない、という厳しい姿勢をいち早く示すことでマスクの高値販売をなくすことにこそ今回の摘発は意味があったのだと思います。

違反に対しては、1年以下の懲役、100万円以下の罰金、またはその双方が科されるという厳しい刑罰が定められています。
今回の件でどのような処分になるかは前科の有無や個別の事情によっても変わってきますが、この件だけを考えたときには、証拠で認められたマスクの転売による売り上げが5万円程度であるとの報道をもとに考えると、少額の罰金刑が科されるのではないかと思います。

先日、厚生労働大臣の会見で、今後、マスクに加え、アルコール消毒製品を高額転売禁止の対象に加えることを検討していると報じられました。
緊急事態宣言解除に伴い、少しずつ経済活動が再開される中、より一層アルコール消毒製品への需要が高まることを見込んでの方針とのことです。

マスク同様、警察が、法律に違反する態様で転売する行為を厳しく取り締まっていくことが予想され、その動きに注目が集まるところです。

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