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部活動内のいじめ
先日、東海大学付属福岡高校の剣道部に所属していた男子生徒が部活動内でのいじめ被害を訴え、その後自ら命を絶った件を受けて、高校が会見を開き、いじめがあったことを認め、謝罪したことが報じられました。
学校が「部活動のことは部活動内で解決する形で、学校として適切な対応ができなかった」と説明した旨も報じられていました。
この件については、ご遺族の代理人が福岡県に対し再調査の申立てをしている旨報じられていますので、今後の進捗に注目していきたいと思いますが、今回は、この件を少し離れ、部活動内のいじめについてとりあげてみたいと思います。
お子さんが部活動の中でいじめ被害を受けているということがわかったとき、それを誰に相談したらいいのだろうかと思いませんか?
冒頭で取り上げた会見での学校側の説明にもあるように、部活動内で起きたことは部活動内で解決すべきことで、学校に相談しても、結局、部活動の顧問が対応すべきこととされているのではないかというイメージもありますよね。
でも、それは違います。
部活動内で起きたいじめについても、たとえばクラス内で起きたいじめと同様、学校がいじめ防止対策推進法に沿って対応する必要があります。
そもそも、いじめ防止対策推進法2条には、「いじめ」の定義として、「児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為…」などと定められていますが、この「一定の人的関係にある他の児童等」に関し、「いじめの防止等のための基本方針」で「同じ学校・学級や部活動の児童生徒」などと説明されています。
学習指導要領においても、部活動については、学校教育の一環として教育課程との関連が図られるように留意することと明記されていますし、文科省のガイドラインにも、部活動の活動が顧問の教員の積極的な取り組みに支えられているとはいっても、学校教育の一環としてその管理下で行われるものであるから、校長のリーダーシップのもとで学校組織全体で部活動の運営等について検討を要する旨が明記されています。
そして、学校全体として部活動内のいじめに対応する必要性も高いといえます。
もちろん、学校により、同じ学校の中でも部活により、さらにいえば、同じ部活であっても、そのときどきの構成メンバーや顧問により、雰囲気も全く違うと思うので、「部活って普通こうですよね」というのはちょっと乱暴だとは思います。
でも、他校と競う機会があったり、試合などひとつの目的のために、学校の授業がない放課後や休日に集まって一緒に厳しい練習を乗り越えたり、先輩後輩という上下関係がある組織の中で活動したりという要素がある部活動は、学校生活の中でもちょっと特別で、学校やクラスという単位とは独立した独特なコミュニティになっていることもあるのではないかと思います。
全然関係ない話なのですが、私は、中学生のとき、女子剣道部に所属していました。
そういえば、ある日部活に行ったら、突然3年生の先輩たちに体育館倉庫に呼び出され、「今日、廊下で会ったよね?そのとき、あんた私たちのこと無視したでしょ?」と言いがかりをつけられ怖い思いをしたエピソードを思い出しました。
そのときは、入部したてで、自分より2年も上の先輩方が怖かったので、「申し訳ありませんが、廊下でお会いしたこと自体認識もないです。何か別のことに気を取られていたか、目が悪くて見えなかったのかわかりませんが、『無視しただろう』と言われて、無視していないということを証明することもできず、こういう状況は本当に面倒なので、今後は、廊下を歩くときには、先輩方の存在に目を光らせることに神経を遣うようにします」と言って精一杯謝ったつもりだったのですが、それに対して「私たちを煽っているのか」とキレられて、「がんばって謝ったのに理不尽な組織だな」と思った記憶があります。
人間関係が濃密であるなどいろいろな要素があっていじめ問題が起きる可能性が高い一方で、学校の中でも独立したコミュニティであるかのように捉えられることもあるため、いじめの被害に遭っても、どこか、部活動内での出来事は部活動内で解決しなくては、といったイメージにとらわれ、そうなると、今後の活動にも影響があってはいけないし、顧問には相談しにくいし…などと考えて結局何もできずに苦しい思いをするといったこともあるかもしれません。
でも、そうではなくて、部活動内でのいじめ被害は、学校として取り組むべき問題。
学校側も、部活動内でのいじめ被害に苦しむ方も、その認識をもつ必要があるでしょう。
全国の教育委員会で、「事例から学ぶいじめ対応集」のようなものが公表されていることがありますが、その中でも、部活動内で起きたいじめ事案について、学校全体がチームとなって対応した事案が紹介されています。
たとえば、奈良県教育委員会が公表している事例では、部員から、部活動内でのいじめ被害の相談を受けた顧問が、ただちにホームルーム担任、学年主任、生徒指導担当教員に共有し、その日のうちに、ホームルーム担任が生徒を自宅に送り届けるとともに、家庭にも学校として生徒を守っていくことを伝え、顧問が、加害生徒やその他部員らから個別に事情聴取して被害の実態を把握した上で、他の教員らにも共有して対策を講じ、それを実行していったとのことです。
部活動といっても、学校により、部により、時期により、ずいぶんその色合いは違うのではないかなと思います。
仲間づくり、趣味を楽しむ時間として、行けるときに参加しようというスタンスでの参加が許されているというケースもあれば、強豪校として認知されており、学校としても力を入れているため、その部活に入るために当該学校に入学したというケースもあるでしょう。
ですから、一人一人の子にとっての「部活動」のもつ存在の大きさはさまざまだと思います。
部活で嫌なことがあったときに、部活を辞めるという選択がしやすく、部活を辞めることで、学校生活に大きな影響がないということもあるはず。
でも、部活というものが自分にとって大きな意味をもっているというお子さんにとっては、部活で起きる出来事や退部するということが、学校に行けなくなるという事態につながることも多いのではないでしょうか?
お子さんが部活動内で受けたいじめ被害について、どのように対応していいかわからず困っている方、顧問に相談したものの、何も対応してくれずご不安が払拭されずにいる方、一度弁護士までご相談ください。
顧問を含む学校側への働きかけや加害児童側への働きかけなどを窓口となって行うことができます。
大前提として、お子さんがどうしたいか、お子さんがどうしてほしくないかという気持ちもとても大切。
オンラインなどで、お子さんもご一緒にお話しすることができます。
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