リーガルエッセイ
公開 2022.10.03 更新 2022.10.18

サウナの温度を勝手に140度以上にしたら犯罪?

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記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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サウナの温度が140度に

昨日、銭湯のサウナの温度が140度の高温にあげられていたというSNS投稿がニュースで取り上げられていました。
何者かによる行為ではないかと言われているようです。
そのニュースでは「いたずら」などという報じられ方をしていましたが、もし、だれかがこのような行為に及んだのだとすれば、実は、いたずらの範疇を超える犯罪行為であると評価される可能性があります。

まず考えられるのは傷害罪。
サウナ部屋の温度を140度にした場合に、中にいる人の身体にどのような影響が出るかによりますが、仮に、この点を捜査し、一般的に、中にいる人がすぐに身体にやけどを負う状態になるとすれば、それは生理的機能の障害といえるでしょう。
とすれば、そのようなことを認識しつつ、サウナの温度を140度にあげたら、その行為は傷害罪に該当する可能性があると思います。

もう1つ考えられるのが業務妨害罪です。
サウナ部屋の中の温度が異常に熱くなっているという声があがったら、銭湯としてはどう対応するか?
まずは、すぐにサウナ部屋に入って確認し、温度を確認。
サウナ内に万一人がいたらすぐに外に誘導し、その間サウナにいた方にその場にとどまるよう伝え、火傷の有無や体調確認等することになるでしょう。
万一具合が悪くなっている方がいたら、すぐに病院に行くよう案内したり、銭湯の方において付き添いをしたりすることもあるかもしれない。
あわせて、なぜ急にこんな高温になったのかという点を調査する必要もあるでしょう。
まさか、何者かがそんなことをするなどとも最初は思わないでしょうから、システムの故障等も視野に原因の調査に追われるかもしれません。
原因がシステムではなく、人の手により温度があげられたのだとすれば、その犯人を特定するための調査も必要になるでしょう。
警察に相談したり、事情聴取されたりという負担も生まれます。
その日はサウナの営業を休むことになるかもしれません。
一般的にそのような対応が起きることは容易に想定されるはず。
そのようにして銭湯の業務を妨害するおそれがあると認識しつつ温度をあげるという行為に及んだのであれば、この行為は業務妨害罪として評価される可能性もあります。

まだ事実関係はわかりません。
ただ、報道されているように、何者かがサウナ部屋内の温度を140度にあげるという行為に及んでいたのだとすれば、事情によっては、上記のとおり傷害罪や業務妨害罪に該当する可能性があり、とてもいたずらとして評価されるような軽いものではないといえるでしょう。

今回の件がいかなる事実関係のもとで起きたものかはまだわかりませんが、これをきっかけに、サウナで起き得る危険を排除するための対策を検討する施設もあるかもしれませんね。

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