リーガルエッセイ
公開 2022.06.15

パパ活に潜むリスクを想像してみたことはありますか?

パパ活に潜むリスクを想像してみたことはありますか?
記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら

何かと話題のパパ活について

今、ある報道とともに「パパ活」という言葉が連日報じられています。

報じられている件では、具体的にどんなことがあったのかわかりませんので、今回は、パパ活について一般論として取り上げてみたいと思います。

パパ活という言葉を聞いてどんな印象を受けますか?
私は、とても気軽で、ちょっとしたお遊びのような気安さを感じるのですがいかがでしょうか。

また、SNSを見れば、パパ活をしたという女性による多くの投稿にあふれています。
そこには、いかに、楽しく、簡単にブランド品やお小遣い数万円を手にすることができたか、いかに、その日会った「パパ」が気前よくお金を払ってくれたかなどという体験談が競い合うかのように投稿されています。

これを見て、「こんなに簡単にお金を手にできるならやってみようかな」と感じるかたもいるのかもしれませんね。

でも、パパ活に潜むリスクを想像してみたことはありますか?

自分は、相手と密室で二人になるなんてことはしないから、危険はないなんて考えているかもしれません。

でも、相手がどんな意図をもって自分に接触してきたか、ちゃんと想像できていますか?
相手は、これまで数々の犯罪に手を染め、次の被害者を見つけようとしている人かもしれないし、その目的のために、ひそかに刃物など危険なものをしのばせているかもしれない。
あなたの隙を見て、飲み物に薬物を混入し、あなたを正常な判断ができない状態にしようとしているかもしれないし、そんなあなたに対し、無理やりわいせつ行為に及ぶかもしれない。
その様子を撮影し、ネット上に拡散しようとしているかもしれないし、その画像をネタに、脅迫され、金銭を要求されるかもしれない。

そんなことまで現実に起きうるものとして想像できているでしょうか?

いざそんなことがあったら、すぐに警察も動くだろうから、相手も、警戒してまさかそんな犯罪行為をしようだなんて考えていないだろうって思いますか?
でも、あなたは、相手がどこのだれか知っていますか?
いざ、被害を警察に申告しようとしたとき、相手に関する情報をどこまで把握しているのでしょうか?

このようなことは、世界のどこか遠いところで起きていることではなく、現に、誰の身にも起きうることなのです。

そういう想像力をもって自分の身を守る必要があるのです。

パパ活と言っても、その実態はいろいろだと思います。
また、そこに至る背景事情もいろいろだと思います。
部外者が、一概に、「そんなのやってはいけない」なんて言えないのかもしれない。
それでも、私は言いたいと思います。
そんな危険なことをすべきではない。
何よりも大事な自分自身を、そんなリスクにさらしてはいけないと思います。
中学生、高校生にこれを伝えていくのは、私たち大人の役割だと思います。
そんな役割を自覚せず、大人が、自ら、パパとなるとか、自ら行ったパパ活の実績を誇らしげに投稿するとか、そんなことがあってはならないと考えています。

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