コラム
公開 2024.01.30

単体1913_新規_Wikipediaでの削除請求方法は?記事の削除方法を弁護士がわかりやすく解説

Wikipediaは便利なウェブサイトである一方で、ときに誹謗中傷などの舞台となることもあります。
中でも、著名人などはWikipediaで誹謗中傷されてしまうことも少なくありません。

では、Wikipediaへの投稿内容は、削除することができるのでしょうか?
また、Wikipediaで誹謗中傷をされた場合、削除請求のほかにどのような方法が検討できるのでしょうか?

今回は、Wikipediaで誹謗中傷された場合の削除請求の方法やその他にとり得る法的措置などについて弁護士が詳しく解説します。

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Wikipediaの概要

はじめに、Wikipediaの概要について解説します。

Wikipediaとは

Wikipediaによると、Wikipediaとは「世界中のボランティアの共同作業によって執筆及び作成されるフリーの多言語インターネット百科事典」です。※1
Wikipediaは広告による収入を得ておらず、主に寄付によって活動している非営利団体「ウィキメディア財団」が所有し運営しています。

Wikipediaの記事は誰が書いている?

Wikipediaの記事は、一般のユーザーが書いています。

ユーザーはWikipediaのアカウントを取得することもできますが、アカウントがなければ記事の作成や編集ができないわけではありません。
アカウント登録をしなくても、編集などが可能です。

この誰もが記事を作成したり編集したりできることが、一般的な百科事典とは異なるWikipediaの大きな特徴です。

Wikipediaの記事を削除請求する3つの方法

Wikipediaは、誰もが記事を作成したり編集したりできるという性質上、ときに他者を誹謗中傷する書き込みがなされることがあります。
特に芸能人やインフルエンサーなどの著名人は、自身について紹介するWikipediaのページに、「この人物は前科がある」「違法薬物の常習犯である」などと虚偽の紹介文を記載されるかもしれません。

また、著名人の住所など、本人が知られたくない個人情報が投稿されることもあるでしょう。
その際は、記事や該当部分の削除を検討することとなります。

ここでは、Wikipediaになされた問題のある記述を削除する方法を3つ紹介します。

自分で記事を編集する

1つ目は、自分で記事を直接編集する方法です。

誰もがWikipediaの記事を編集できるということは、誹謗中傷を受けた被害者本人であっても編集できるということです。
そのため、自分で記事を編集することで、不都合な記載を削除することができます。

ただし、たとえ記事を編集しても、その編集履歴はWikipedia上の「過去の版」に保存されており、誰でも見ることができます。

また、過去のバージョンに戻すことも可能です。
つまり、記事を編集すると表面上は不都合な記載が消えたように見えるものの、過去に書き込まれた内容は完全に消えることなく、「過去の版」から誰でも確認できてしまうということです。

Wikipediaに直接削除を請求する

2つ目は、Wikipediaに直接削除を請求する方法です。

Wikipediaの削除とは、「ウィキペディア内にあるページ又はその過去版を閲覧不能にする機能」です。※2
先ほど解説したように、ページを編集しただけでは過去版の閲覧ができてしまいます。
一方、削除請求では過去版を見ることもできなくなる点が大きな違いです。

記事の削除を請求するには、削除したい内容や理由によって異なります。※3
ページを削除するには、原則としてWikipediaの不特定のユーザーによる削除の合意が成立しなければなりません。※2

ただし、名誉毀損など一定の条件に該当する場合には、Wikipediaが定めた一定の要件を満たす「管理者」や「削除者」に削除を提案することで、ユーザーの合意を経ることなく削除されるとされています。※4

裁判上で削除請求をする

3つ目は、裁判上で削除請求をすることです。

名誉毀損などWikipediaが定めた削除条件に該当すると考えられる内容であっても、Wikipediaが記事を削除しないと判断することがあります。
その場合は、裁判上で削除を請求する道があります。

裁判上での削除請求には法令や裁判手続きに関する知識が必要であるため、弁護士へご相談ください。

Wikipediaでの誹謗中傷への削除請求以外の対応

Wikipediaで誹謗中傷などの被害に遭った場合、削除請求だけでは不十分であることが多いでしょう。
なぜなら、せっかく削除が認められても投稿者に何ら制裁が課されなければ、また同様の書き込みがなされていたちごっことなる可能性が高いためです。

そこで、Wikipediaへの投稿に削除請求をする際は、削除の請求と併せて他の法的措置も講じることが多いといえます。
ここでは、削除請求以外の主な法的措置について解説します。

開示請求

開示請求とは、投稿者が誰であるのか身元を特定する手続きです。
投稿者に対して損害賠償請求をしたり投稿者を刑事告訴したりする際は、原則として相手の身元がわかっていなければなりません。

そこで、損害賠償請求や刑事告訴の準備段階として、開示請求をすることが一般的です。
インターネット上で誹謗中傷がなされた際の開示請求は、原則として次の二段階で行います。

  1. 誹謗中傷の舞台となったSNSやインターネット掲示板の運営社に開示を請求し、投稿のIPアドレスとタイムスタンプなどの情報を入手する
  2. 1で得た情報をもとに、投稿者が接続に使ったプロバイダに開示を請求し、プロバイダ契約者の住所や氏名などの情報を入手する

ただし、Wikipediaはアカウント登録をせずに記事を投稿した場合は投稿者のIPアドレスが公表されており、これは記事の「履歴表示」タブから見ることができます。
そのため、誹謗中傷の投稿者がアカウント登録をしていなかった場合は、手続きを一部省略できる可能性があります。

なお、開示請求はWikipediaやプロバイダに対して直接請求しても、開示に応じてもらえる可能性はほとんどありません。
そのため、誹謗中傷問題への対応に強い弁護士へ相談するようにしてください。

損害賠償請求

損害賠償請求とは、相手の不法行為(Wikipediaへの誹謗中傷記事の投稿)によって被った損害や精神的な苦痛を金銭で賠償するよう、相手に対して求めることです。

損害賠償請求ははじめから裁判上で行うのではなく、開示請求によって判明した住所宛に、まずは弁護士から書面を送るなどして行うことが一般的です。
この段階で相手が反省して請求した示談金を支払った場合は、この時点で示談の成立となり、事件は終結します。

示談交渉がまとまったら示談金の受領と引き換えに、示談書を取り交わします。
示談書には、「以後誹謗中傷を行わない」旨の条項や、「刑事告訴をしない(または、取り下げる)」旨の条項を入れることが一般的です。

一方、相手が請求を無視したり不誠実な態度をとったりする場合は、裁判上での損害賠償請求へと移行します。
裁判へ移行すると、諸般の事情を考慮のうえ、裁判所が損害賠償請求の可否や賠償額を決定します。

相手は、たとえ不服であったり裁判に出席しなかったりしても、裁判で決まった賠償額を支払わなければなりません。
また、所定の期限までに支払わない場合は、強制執行の対象となります。

刑事告訴

Wikipediaで誹謗中傷を行った場合は、「名誉毀損罪」や「侮辱罪」などに該当し、刑事罰の対象となる可能性があります。
しかし、これらはいずれも被害者からの告訴がなければ犯人に罪を問うことができない「親告罪」とされています。

そのため、誹謗中傷の投稿者に前科をつけたい場合は、被害者が刑事告訴をしなければなりません。
刑事告訴とは、警察などの捜査機関に対して犯罪行為を申告し、犯人の処罰を求める意思を表示することです。

刑事告訴が受理されると警察などによって捜査が開始され、必要に応じて犯人が逮捕されます。
その後、起訴(刑事裁判を開始すること)か、不起訴(刑事裁判をせず罪を不問とすること)が決定されます。
起訴されると、有罪・無罪や量刑が決まり、有罪となった場合は相手に前科が付くという流れです。

ただし、警察は人命にかかわる事件を多数抱えていることも多く、誹謗中傷事件などは優先順位が下がってしまいがちです。
また、たとえ被害者であっても、捜査に細かな指示をすることなどはできません。

刑事告訴をする際は、これらの点を理解したうえで行うことをおすすめします。

Wikipediaの削除請求を弁護士へ依頼するメリット

Wikipediaの投稿について削除請求をしたい場合は、弁護士へご依頼ください。
最後に、削除請求を弁護士に依頼する主なメリットを3つ解説します。

削除請求が認められやすくなる

1つ目は、削除請求が認められやすくなることです。

裁判上での削除請求は、単に形式的な書面を提出すればよいわけではなく、削除が相当であると考える理由を法令の根拠をもって主張しなければなりません。
法的な根拠を自分で調べて効果的な主張を自分で行うことは容易ではないでしょう。

弁護士へ対応を依頼することで、効果的かつ論理的な主張が可能となり、削除請求が認められやすくなります。

開示請求や損害賠償請求などの対応もできる

2つ目は、開示請求や損害賠償請求などの対応も任せられることです。

先ほど解説したように、Wikipediaで誹謗中傷の被害に遭った場合は削除請求だけでは不十分です。
削除請求をする場合であっても、これと併せて開示請求や損害賠償請求などの法的措置を講じることをおすすめします。

なぜなら、削除請求をしただけでは、同じような内容がまた書きこまれるおそれがあるためです。
相手に対して損害賠償請求などの法的措置を講じることで、その後の誹謗中傷の抑止力ともなるでしょう。

しかし、開示請求を行うには、法令や裁判手続に関する知識が必要です。
また、ログの保存期間内(プロバイダによって異なり、3か月から6か月程度)に手続きを行う必要があり、じっくり調べるほどの時間的猶予はありません。

自分で損害賠償請求をするには、相手と直接対峙する必要があるほか、自身の連絡先を相手に知らせることなります。
そのため、損害賠償請求を自分で行うことは現実的ではないでしょう。

弁護士へ依頼する場合は、開示請求や損害賠償請求についても対応を任せることが可能となります。

削除請求が可能かどうか事前に想定しやすくなる

3つ目は、削除請求や開示請求が認められる可能性があるかどうか、あらかじめ想定しやすくなることです。

Wikipediaに都合の悪い内容が書き込まれたからといって、必ずしも裁判上での削除請求や開示請求が認められるとは限りません。
裁判上での削除請求や開示請求が認められるには、その投稿によって権利侵害があると判断される必要があります。

そのため、権利侵害がないにも関わらず削除請求や開示請求をした場合は、削除や開示が認められず、手間と時間だけを要してしまうこととなりかねません。

弁護士へ依頼する場合は、そのケースにおいて削除請求や開示請求が認められそうかどうか、あらかじめ想定することが可能となります。

まとめ

Wikipediaに誹謗中傷や個人情報を書き込まれたら、これについて削除請求をする道があります。

削除請求はWikipediaに対して直接行うこともできますが、必ずしも削除が認められるとは限りません。
その際は、裁判上での削除請求を検討することとなります。

また、Wikipediaでなされた誹謗中傷について削除請求をする場合は、これと併せて開示請求や損害賠償請求をすることをおすすめします。
削除をしただけでは同様の内容が再度書き込まれるおそれがあるところ、開示請求や損害賠償請求などの厳格な法的措置を講じることで、再発の強い抑止力となるためです。

しかし、裁判上での削除請求や開示請求、損害賠償請求などを自分で行うことは容易ではありません。
そのため、誹謗中傷問題への対応に強い弁護士へご相談ください。

Authense法律事務所ではインターネット上での誹謗中傷トラブルの解決に力を入れており、Wikipediaでの書き込みに対する削除請求や開示請求などについても多くの解決実績があります。
Wikipediaで誹謗中傷などの被害に遭い削除請求をしたい場合や相手に対して損害賠償請求などの法的措置を講じたい場合などには、Authense法律事務所までお早めにご相談ください。

Wikipediaでの誹謗中傷にまつわるご相談は、初回60分間無料です。

記事を監修した弁護士
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Authense法律事務所記事監修チーム
Authense法律事務所の弁護士が監修、法律問題や事例についてわかりやすく解説しています。Authense法律事務所は、「すべての依頼者に最良のサービスを」をミッションとして、ご依頼者の期待を超える弁護士サービスを追求いたします。どうぞお気軽にご相談ください。
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