コラム
公開 2023.11.30

単体1906_新規_LINEオープンチャットで投稿者は特定可能?情報開示請求と特定の流れをわかりやすく解説

LINEには、オープンチャットという機能があります。
このオープンチャットへ投稿したら、投稿者が誰なのか特定されるのでしょうか?

また、オープンチャットで誹謗中傷などの被害に遭った場合、相手が匿名であっても法的措置をとることはできるのでしょうか?
今回は、オープンチャットでの投稿者の特定や誹謗中傷の被害に遭った場合の対応などについて、弁護士が詳しく解説します。

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LINEオープンチャットとは

LINEオープンチャットとは、興味のあるテーマのトークルームへ入ったりトークルームを作成したりして、LINEの友達になっていないユーザーとグループチャットを楽しめるサービスです。
トークルームに入る際は、通常の友達とのLINEで使用しているニックネームやプロフィール画像とは別で、オープンチャット用のニックネームとプロフィール画像の設定ができます。※1

オープンチャットを使うことで、共通の趣味や「推し」と持つユーザーと趣味について語り合ったり、情報交換をしたりすることが可能となります。

LINEオープンチャットで本アカや本名は特定される?

LINEオープンチャットに参加すると、LINEの本アカや本名などは特定されるのでしょうか?
ここでは、順を追って解説します。

プロフィールとアイコンを工夫すれば通常は特定できない

平常時であれば、原則として本アカや本名などが他のユーザーに知られることはありません。

ただし、オープンチャットに参加する際のプロフィール画像を本アカと同じものとしたり、InstagramやFacebookなど他のSNSで使用している画像を投稿したりした場合は、そこから推測され特定される可能性はあります。
また、リアルな場面や他のSNSで話した内容と似た内容の投稿をすることで、推測される可能性もあるでしょう。

つまり、画像やニックネームを使いまわさず個人が特定できるような内容の投稿をしなければ、原則として本アカや個人は特定されないということです。

発信者情報開示請求をされると特定される可能性がある

オープンチャットでは原則として本名などは特定されませんが、これはあくまでも「平常時」に限ったことです。
オープンチャット内で他者を誹謗中傷したり脅迫したりした場合、相手から発信者情報開示請求をされ、個人が特定される可能性があります。

そのため、「絶対に個人が特定されない」わけではなく、他者の権利を侵害するなどの問題を起こせば特定される可能性があることを知っておきましょう。
なお、オープンチャットで誹謗中傷などの被害に遭った場合、相手が匿名であるからといって法的措置を諦める必要はありません。

オープンチャットで個人が特定される「発信者情報開示請求」とは

オープンチャットで個人の特定が可能である「発信者情報開示請求」とは、どのような手続きなのでしょうか?
ここでは、発信者情報開示請求についての概要を解説します。

なお、後ほど詳しく解説しますが、この手続きは弁護士に依頼して行うことが一般的です。
そのため、詳細までを理解する必要はなく、概要を知ったうえで、お困りの際は早期に弁護士へご相談ください。

発信者情報開示請求とは

発信者情報開示請求とは、自分を誹謗中傷したり脅迫したりした相手が誰であるのか、特定するための手続きです。

誹謗中傷などの権利侵害がされた場合は、相手に対する損害賠償請求や刑事告訴などができる可能性があります。
しかし、誰だかわからない相手に対して損害賠償請求をしたり、誰だかわからない相手を刑事告訴したりすることは原則としてできません。

そこで、これらの法的措置に先立って相手の特定が必要となります。
オープンチャットの投稿者に関する発信者情報開示請求は、次の2段階で行うことが原則です。

  1. オープンチャットを運営するLINEヤフー株式会社から、投稿のIPアドレスやタイムスタンプの情報を入手する
  2. 「1」で得た情報をもとに、相手が接続に使ったプロバイダ(NTTやSoftbankなど)からプロバイダ契約者の住所や氏名などの情報を入手する

ただし、これらについて直接LINEヤフー株式会社やNTTなどに請求しても、開示してくれる可能性はほとんどありません。
そのため、発信者情報開示請求は裁判上の手続きによって行うことが原則です。

裁判所に開示請求を申立て、裁判所が情報開示の必要性を認めた場合は、裁判所からLINEヤフー株式会社や接続プロバイダに対して情報の開示命令が出されます。

なお、発信者情報開示請求などについて定めている「プロバイダ制限責任法」の改正法が2022年10月から施行されています。
これにより、先ほどの「1」と「2」を一本の手続きで行える制度が創設されました。

新たに創設された方法を活用する場合と従来からの方法を活用する場合のいずれが適しているかは状況によって異なります。
そのため、弁護士の判断に従うとよいでしょう。

発信者情報開示請求がされる主な場面

オープンチャットで気に入らない投稿がされたからといって、すべてのケースで発信者情報開示請求が認められるわけではありません。
発信者の情報開示が認められるのは、請求者が開示対象者から権利侵害をされたことが明白である場合に限られます。

発信者情報開示請求は、次の場面などで行われます。

  • 対象者から誹謗中傷(名誉毀損や侮辱など)をされた場合
  • 対象者から脅迫された場合

やみくもに発信者情報開示請求をしても認められない可能性が高いといえます。
開示が認められる見込みが高いかどうかについて、あらかじめ弁護士へご相談ください。

オープンチャットで誹謗中傷被害に遭った場合に相手を特定する流れ

オープンチャットで誹謗中傷などの権利侵害がなされた場合、相手を特定するにはどのような流れで進めればよいでしょうか?
ここでは、誹謗中傷の被害に遭った場合における初期の基本的な対応について解説します。

投稿の証拠を残す

オープンチャットで誹謗中傷の被害に遭ったら、その場で証拠を残してください。
証拠がなければ発信者情報開示請求やその後の法的措置をとることが困難となるためです。
また、「後で証拠を残そう」と考えていると、相手が問題のトークを削除するなどして証拠が消えてしまうかもしれません。

オープンチャットで誹謗中傷された場合の証拠は、スクリーンショットで撮影することが一般的です。
スクリーンショットは、次の内容が掲載されるよう漏れなく撮影してください。

  • 問題のトークの内容
  • そのトークが投稿された日時
  • そのトークと関連する前後の投稿の内容
  • 該当のオープンチャットのURL

弁護士へ相談する

スクリーンショットなどで誹謗中傷の証拠を残したら、できるだけ早期に弁護士へ相談します。

発信者情報開示請求を自分で行って開示を成功させることは、容易ではありません。
発信者情報開示請求は、裁判手続によって行う必要があるためです。

また、機械的に書類を書けば認められるようなものでもなく、根拠となる法律の規定とともに権利侵害があったとの主張を論理的に行わなければなりません。
そのため、無理に自分で行わず、発信者情報開示請求に慣れている弁護士のサポートを受けるようにしてください。

相談の際には、撮影したスクリーンショットについても確認を受けてください。
そのうえで、証拠に不足があれば、追加の撮影などを行います。

なお、早期に相談すべき理由は、発信者情報開示請求には事実上の期限があるためです。
発信者情報開示請求に必要となる投稿のログは一定期間しか保存されず、この保存期間が過ぎてしまうと開示を受けることができません。

ログの保存期間はプロバイダによって異なりますが、おおむね3か月から6か月程度が目安となります。
この期間内に手続きを行えるよう、誹謗中傷の投稿がされたらすぐに(可能であれば、その日や翌日などに)弁護士へコンタクトをとるようにしてください。

弁護士に発信者情報開示請求をしてもらう

弁護士に対応御依頼したら、弁護士が発信者情報開示請求を行います。

依頼から相手の特定までには、数か月単位(半年から9か月程度)の期間がかかることが一般的です。
具体的な期間は状況や進め方などによって異なるため、依頼先の弁護士に目安となる期間を確認しておくことをおすすめします。

オープンチャットでの誹謗中傷で相手が特定できた場合の対応内容

オープンチャットで誹謗中傷をされた場合、相手の特定ができた場合、その後はとれる法的措置は、「損害賠償請求」と「刑事告訴」です。
両方の要件を満たすのであれば、両方の措置をとることもできます。

ただし、両方の措置をとろうとするとコストや時間がかかる傾向にあるため、いずれか一つを選択することも少なくありません。
また、誹謗中傷の内容や態様によっては、「損害賠償請求はできそうである一方で、刑事告訴は難しい」など、一方の措置しかとれないこともあります。

両方の法的措置をとるのかいずれか一方の法定措置のみをとるのかについては、弁護士からアドバイスを受けたうえで検討するとよいでしょう。

相手に連絡を取り損害賠償請求をする

1つ目は、損害賠償請求です。
損害賠償請求とは、相手の不法行為によって被った損害や精神的苦痛を金銭によって賠償するよう、相手に対して求めることです。

損害賠償請求ははじめから裁判を申し立てるのではなく、まずは弁護士から相手に文書を送るなどして行うことが一般的です。
この時点で相手が反省の姿勢を見せて請求どおりの額を支払った場合には「示談の成立」となり、事件が終結します。
示談が成立したら金銭を受け取るとともに、「以後誹謗中傷を行わない」などの合意書へ署名や押印を取り付けることが多いでしょう。

一方で、相手が弁護士からの文書を無視するなど不誠実な対応をする場合や請求額を支払わない場合には、裁判上の損害賠償請求へと移行します。
裁判となると、損害賠償請求の可否や金額について裁判所が判断します。

相手を刑事告訴する

2つ目は、相手を刑事告訴することです。
オープンチャットでの誹謗中傷は刑法上の名誉毀損罪や侮辱罪にあたる可能性があり、刑事裁判で有罪となれば相手に前科が付くこととなります。
ただし、名誉毀損罪や侮辱罪は「親告罪」とされており、相手を処罰してもらうためには被害者からの告訴がなければなりません。

刑事告訴とは、警察や検察などの捜査機関へ犯罪行為があった事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示です。
誹謗中傷事件の場合は、警察署へ告訴状を提出することで告訴を行うことが一般的です。

告訴状が受理されると、警察にて事件の捜査が行われ、必要に応じて犯人(被疑者)が逮捕されます。
その後は検察に身柄が送られ、検察でも事件の捜査がなされたうえで、起訴(刑事裁判を開始すること)か不起訴(刑事裁判を開始せず、罪を不問とすること)かが決まります。
起訴されると刑事裁判が開始され、有罪・無罪や具体的な量刑が決まるという流れです。

ただし、告訴状の受理後の捜査については捜査機関に委ねられ、たとえ被害者であっても細かな指示を出したり逐一報告を求めたりすることはできません。
また、警察が人命にかかわる事件などを多数抱えている場合は、誹謗中傷事件などの優先順位が下がってしまう可能性もあります。

まとめ

LINEオープンチャットは通常のLINEアカウントは異なるニックネームやプロフィール画像で参加でき、原則として本アカや本名が特定されることはありません。

一方で、誹謗中傷や脅迫などの権利侵害があった場合は、発信者情報開示請求をすることで投稿者を特定できる可能性があります。
そのため、オープンチャットで誹謗中傷されたら証拠を残したうえで、早期に弁護士へご相談ください。
相手が匿名であっても、法的措置を諦める必要はありません。

Authense法律事務所は誹謗中傷対応に力を入れており、これまでも多くの情報開示請求を成功させた実績があります。
LINEオープンチャットでの誹謗中傷でお困りの際は、Authense法律事務所までできるだけお早めにご相談ください。
誹謗中傷に関するご相談は、初回60分間無料です。

記事を監修した弁護士
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Authense法律事務所記事監修チーム
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