Discordとは、テキストチャットやボイスチャット、画面共有、ビデオ通話などに対応したコミュニケーションツールです。
1対1でのコミュニケーションのみならず、多様な規模のグループ(「サーバー」と呼ばれます)を作ってコミュニケーションをとることもできます。
2015年にアメリカで開発され、日本でもオンラインゲームのプレイヤーなどを中心に活用が広がりました。
しかし、時にはそのサーバー内で誹謗中傷ともいえる投稿がなされることもあり、悪質な場合には開示請求を検討することとなります。
開示請求とは相手の身元を特定するための手続きであり、裁判手続きによって行うことが一般的です。
では、誹謗中傷の舞台がDiscordであっても、開示請求はできるのでしょうか?
また、Discordへの開示請求は、どのような流れで進めればよいのでしょうか?
今回は、Discordへの開示請求の基本や流れ、開示請求の要件、開示請求を成功させるポイントなどについて弁護士がくわしく解説します。
なお、当事務所(Authense法律事務所)はインターネット上での誹謗中傷トラブルの対応に力を入れており、多くの解決実績があります。
Discordへの開示請求をご検討の際は、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。
目次
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Discordでの発言も開示請求の対象となる
Discordでの発言も、開示請求の対象となり得ます。
開示請求の要件は後ほど解説するものの、重要な要件の1つに「自己の権利を侵害されたこと」があります。
インターネット上での権利侵害の代表例は、侮辱や名誉毀損です。
しかし、これらを成立させるにはこれが「公然と」なされたことが必要です。
たとえば、1体1の閉鎖的な場での発言は、いくら「侮辱的な」内容であったとしても原則として権利侵害とはなりません。
一方で、Discordのサーバーの規模はさまざまです。
1対1でのコミュニケーションを前提とする非常に小規模なサーバーがある一方で、中にはメンバー数が数百人や数千人、さらに大規模なものでは数百万人にのぼるものも存在し、そのようなサーバーでの発言は多くの者の目に触れることとなります。
たとえDiscord上での発言であっても、そのサーバーのメンバーが多く多くの人の目に触れ得るのであれば、開示請求の対象となります。
なお、脅迫などの場合には「公然と」なされていなくても不法行為にあたるため、たとえ1体1のサーバー上での発言であっても開示請求の対象となり得ます。
Discord上でなされた実際の発言について開示請求をご検討の際は、Authense法律事務所へご相談ください。
具体的な事案に応じ、開示請求の可否などの見通しを立てることが可能となります。
Discordに開示請求をする目的
Discordへの開示請求は、相手に法的措置をとる準備として行うものです。
Discordは匿名(または偽名)のユーザーがほとんどであり、本名や住所などはわかりません。
しかし、本名などがわからないと損害賠償請求などの法的措置は困難であるため、これに先立って開示請求を行い、身元の特定をはかります。
ここでは、Discordに開示請求をする主な目的を解説します。
相手に損害賠償請求をするため
Discordへの開示請求は、相手に損害賠償請求をする目的で行うことが多いでしょう。
損害賠償請求とは、投稿によって生じた精神的苦痛や損害を金銭の支払いで償うよう、投稿者に対して求めるものです。
損害賠償請求をする場合、開示請求によって投稿者の身元が特定できたら、まずは弁護士から書面を送るなどして請求することが一般的です。
この段階で相手が謝罪し請求に応じれば事案は解決となる一方で、相手が請求に応じない場合もあるでしょう。
その場合には、裁判上での損害賠償請求へと移行します。
相手を刑事告訴するため
Discordへの開示請求は、刑事告訴を目的として行う場合もあります。
なお、刑事告訴と損害賠償請求は両方を行うことも可能であり、どちらか1つを選ぶようなものではありません。
刑事告訴とは、警察などの捜査機関に犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示です。
多数の者が閲覧できる場での誹謗中傷は、刑法上の侮辱罪や名誉毀損罪、業務妨害罪にあたる可能性があります。
とはいえ、これらの罪で警察が独自に捜査を開始することは稀であり、相手に刑事上の責任を問うためには刑事告訴が必須といえるでしょう。
刑事告訴が受理されると警察などでの捜査が開始され、必要に応じて投稿者が逮捕されます。
その後は検察によって起訴・不起訴が決められ、起訴されると刑事裁判が開始されます。
この刑事裁判で、有罪・無罪や具体的な量刑が決まります。
なお、インターネット上での誹謗中傷は前科があるなど一定の場合を除き、実刑となる可能性は高くありません。
そのため、刑事告訴まで行うか否かは弁護士と相談したうえで、慎重に検討するとよいでしょう。
(参考)嫌がらせ目的での開示請求はできない
Discordへの開示請求は、嫌がらせ目的で行うことはできません。
「開示された情報をSNS上にさらす」などの嫌がらせをするための開示請求は認められず、開示を受けた情報を万が一悪用すれば、自身が罪に問われる可能性が生じます。
Discordに開示請求をする要件
Discordへの開示請求は、申立てさえすれば必ずしも認められるわけではありません。
では、開示請求を成功させるにはどのような要件を満たす必要があるのでしょうか?
ここでは、開示請求の主な要件を解説します。
とはいえ、実際にDiscordになされた投稿が開示請求の対象となるか否か、自身で判断することは容易ではないでしょう。
お困りの際は、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。
ご相談いただくことで、具体的な状況に応じて開示請求の可否などの見通しを立てることが可能となります。
開示関係役務提供者に該当すること
1つ目は、請求の相手方が「開示関係役務提供者」に該当することです。
「開示関係役務提供者」とは、サーバーの提供者やオンライン掲示板の提供者などを指し、Discordはこれに該当すると考えられます。
権利侵害が明らかであること
2つ目は、権利侵害が明らかであることです。
たとえ不快な内容であっても、権利侵害にあたるとまではいえない場合、開示請求は認められません。
この点は特に判断が難しいため、実際にDiscordへの開示請求をご検討の際は、弁護士へご相談ください。
自己の権利を侵害されたこと
3つ目は、自己の権利が侵害されたことです。
権利侵害の存在があったとしても、他人のために開示請求をすることはできません。
なお、権利侵害の対象は自然人のみならず、会社などの法人や店舗などであっても権利侵害の対象となり得ます。
正当な理由があること
4つ目は、正当な理由があることです。
先ほど解説したように、「SNSで晒す」など私的制裁を目的とした開示請求は認められません。
損害賠償請求や刑事告訴など、正当な理由の存在が必要です。
開示関係役務提供者が対象の情報を保有していること
5つ目は、開示関係役務提供者が、対象となる情報を保有していることです。
当然ながら、「ない」情報を開示させることはできません。
たとえば、Discordは通常、ユーザーの住所の情報は保有しておらず、これを開示対象にしたところで開示は受けられないということです。
Discordに開示請求をする際の流れ
Discordへの開示請求は、どのような流れで進めればよいのでしょうか?
ここでは、Discordに開示請求をする一般的な流れについて解説します。
投稿の証拠を残す
Discordで権利侵害がなされたら、その場ですぐに証拠を残します。
証拠がなければ、開示請求を成功させることはできないためです。
すぐに証拠を残さなければ、問題のメッセージが消されてしまうかもしれません。
証拠は、スクリーンショットの撮影で残すことが一般的です。
スクリーンショットは、問題となるメッセージの全文が読み取れるように撮影してください。
また、関連する前後のやり取りやメッセージなどがある場合には、これも漏れなく撮影しておきましょう。
弁護士へ相談して方針を決める
投稿の証拠を残したら、できるだけ早期に弁護士へ相談します。
開示請求は、時間との勝負であるといっても過言ではありません。
早期に対応に取り掛からなければ投稿のログが消えてしまい、開示を受けられなくなるおそれが高くなるためです。
ログの保存期間はプロバイダによって異なるものの、おおむね3か月から6か月程度が目安となります。
ここまでの間に開示請求を間に合わせるため、できるだけ早く対応に取り掛かるとよいでしょう。
Discordへの開示請求でお困りの際は、Authense法律事務所へご相談ください。
開示請求をする
弁護士へ依頼をして対応の方針が決まったら、開示請求を進めます。
冒頭で触れたように、開示請求は裁判手続きによって行うことが一般的です。
裁判所を介さずにDiscordの運営者に直接開示を求めたところで、開示を受けられる可能性はほとんどないためです。
また、Discordはユーザーの住所などの情報までは有していないため、Discordへの開示請求だけでは身元の特定はできません。
そのため、開示請求は原則として、次の2段階で行います。
- Discordに開示請求をして、投稿のIPアドレス・タイムスタンプなどの情報を入手する
- Discordから開示された情報を元に、相手が投稿に使ったプロバイダ(SoftbankやKDDIなど)に開示請求をして、プロバイダ契約者の住所や氏名などの情報を入手する
これにより、投稿者の身元が特定できたら、損害賠償請求や刑事告訴に進みます。
(参考)発信者情報開示命令とは
2022年10月に施行された改正プロバイダ制限責任法により、新たに「発信者情報開示命令」が創設されました。
これは、Discordなどのコンテンツプロバイダへの開示請求とSoftbankなどのアクセスプロバイダへの開示請求を、1本の手続きで行える非訟手続きです。
発信者情報開示命令の適用により、従来と比較して投稿者の特定に要する期間が大幅に短縮される可能性が高まります。
ただし、発信者情報開示命令は非訟手続きであるため、プロバイダ側の出方によってはむしろ開示までの期間が長引くおそれがあります。
そのため、必ずしも発信者情報開示命令が最良であるとは限らず、従来の発信者情報開示請求によるか新しい発信者情報開示命令によるかは、実績豊富な弁護士に相談したうえで慎重に検討すべきでしょう。
インターネット上での誹謗中傷トラブルに強い弁護士をお探しの際は、Authense法律事務所へご相談ください。
Discordへの開示請求を成功させるポイント
Discordへの開示請求を成功させるには、どのようなポイントを踏まえればよいのでしょうか?
最後に、主なポイントを3つ解説します。
無理に自分で対応しようとしない
1つ目は、無理に自分で対応しようとしないことです。
Discordへの開示請求は、単に書類の穴を埋めるだけでできるようなものではありません。
開示請求を成功させるには、法律や裁判手続きに対する正しい理解が不可欠です。
無理に自分で行おうとすれば、開示が相当であると考える十分な根拠を示すことができず、失敗に終わるおそれがあるでしょう。
そのため、Discordへの開示請求は無理に自分で対応せず、弁護士に任せることをおすすめします。
開示請求に強い弁護士へ相談する
2つ目は、開示請求に強い弁護士へ相談することです。
弁護士事務所によって、注力する分野が異なることは珍しくありません。
なかでも、インターネット上での誹謗中傷は比較的新しいトラブル類型であり、弁護士によって得意・不得意が分かれやすい分野であるといえます。
そのため、相談先の弁護士は誰でもよいわけではなく、インターネット上での誹謗中傷トラブルに関する実績が豊富な事務所を選ぶことをおすすめします。
Discordへの開示請求を任せる弁護士をお探しの際は、Authense法律事務所までご相談ください。
早期に対応に取り掛かる
3つ目は、早期に対応に取り掛かることです。
先ほど解説したように、開示請求は時間との勝負であるといえます。
Discordへの開示請求を成功させるためには、できるだけ早期に対応に取り掛かることをおすすめします。
可能であれば、問題の投稿を見つけた当日か翌日には、弁護士にコンタクトを取れるとベストでしょう。
まとめ
Discordへの開示請求の概要や開示請求の流れ、Discordへの開示請求を成功させるポイントなどを解説しました。
Discordになされた投稿も、開示請求の対象となり得ます。
開示請求をしようとする際は、その場で証拠を残したうえで弁護士へご相談ください。
弁護士へ相談することで、そのケースにおける開示請求の可否などの見通しが立てられ、対応の方針を決めやすくなります。
Authense法律事務所はインターネット上での誹謗中傷トラブルについて、豊富な解決実績を有しています。
Discordへの開示請求をご検討の際は、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。

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