「くるみん」と「えるぼし」は、いずれも一般事業主行動計画の策定や届出を行った企業の取り組みについて、厚生労働大臣が認定をする制度です。
認定を受けた証として、「くるみんマーク」や「えるぼしマーク」の使用が可能となります。
では、くるみん認定とえるぼし認定には、どのような違いがあるのでしょうか?
また、くるみんやえるぼしの認定を受けることには、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?
今回は、くるみん認定とえるぼし認定の概要や両者の違い、認定を受ける主なメリットなどについて社会保険労務士(社労士)がくわしく解説します。
なお、当事務所(Authense社会保険労務士法人)はくるみん認定やえるぼし認定の申請サポートを行っており、豊富な実績を有しています。
くるみん認定やえるぼし認定への申請をご希望の際は、Authense社会保険労務士法人までお気軽にご相談ください。
「くるみん」と「えるぼし」とは
くるみんとえるぼしは、それぞれどのような制度なのでしょうか?
はじめに、くるみん認定とえるぼし認定の制度概要を解説します。
くるみん認定とは
くるみん認定とは、「子育てサポート企業」を厚生労働大臣が認定する制度です。
次世代育成支援対策推進法に基づくものであり、一般事業主行動計画を策定し、一定の基準を満たした企業が申請を行うことによって認定が受けられます。
通常の「くるみん認定」のほか、要件が少し緩和された「トライくるみん認定」、くるみん認定またはトライくるみん認定を受けた企業がさらに厳しい基準を満たすことで認定される「プラチナくるみん認定」などが存在します。
えるぼし認定とは
えるぼし認定とは、女性の活躍推進に関する取組の実施状況が優良である企業を、厚生労働大臣が認定する制度です。
女性活躍推進法に基づくものであり、一般事業主行動計画を策定し、一定の要件を満たした企業が申請をすることで認定を受けられます。
えるぼし認定は、クリアした基準の数に応じて、1段階目から3段階目までが設けられています。
さらに、えるぼし認定を受けた企業のうち、女性の活躍推進に関する取組の実施状況が特に優良であるなど一定の要件を満たした場合には、「プラチナえるぼし認定」の対象となります。
くるみん認定やえるぼし認定を受けるメリット
くるみん認定やえるぼし認定を受けることには、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは、主なメリットを5つ解説します。
自社がくるみん認定やえるぼし認定の申請を検討するにあたって具体的なメリットが知りたい場合は、Authense社会保険労務士法人までお気軽にご相談ください。
ご相談いただくことで認定申請をする制度を定めやすくなるほか、自社が認定を受けられそうか否かの見通しを立てることも可能となります。
企業イメージの向上につながる
1つ目は、企業イメージの向上につながることです。
くるみん認定を受けた企業は「くるみんマーク」、えるぼし認定を受けた企業は「えるぼしマーク」の使用が可能となります。
これらのマークを広告や商品、自社ホームページなどに掲載することで従業員を大切にする優良企業であるとの印象につながり、企業のイメージを向上させる効果が期待できます。
優秀な人材から選ばれやすくなる
2つ目は、求人活動に際して、優秀な人材から選ばれやすくなることです。
くるみん認定を受けている企業は「子育てサポート企業」として、えるぼし認定を受けている企業は「女性の活躍を推進している企業」として、厚生労働大臣からお墨付きを得ているといえます。
これらは「働きやすさ」の客観的な指標となるため、求職者から選ばれやすくなる効果が期待できます。
公共調達で優遇措置が受けられる
3つ目は、公共調達において優遇措置の対象となることです。
公共機関が民間企業から物品やサービスを調達するにあたっては、入札価格のみならず、さまざまな指標から企業を採点する「総合評価落札方式」が多く採用されています。
多くの公共調達においてくるみん認定やえるぼし認定が加点の対象となるため、入札に際して有利となります。
日本政策金融公庫から低利融資が受けられる
4つ目は、日本政策金融公庫による低利での融資の対象となることです。
日本政策金融公庫は「働き方改革推進支援資金」という融資制度を設けており、くるみん認定やえるぼし認定を受けている企業はこの融資制度の対象となります。※1
ただし、融資を受けるには審査に通る必要があります。
(くるみんの場合)くるみん助成金の対象となる
くるみん認定を受けた場合、「くるみん助成金」の対象となります。
これは、くるみん認定やプラチナくるみん認定を受けた企業を対象に、最大50万円の助成金が受け取れる制度です。
また、多くの補助金の審査において、くるみん認定やえるぼし認定が加点対象とされています。
くるみん認定とえるぼし認定の主な違い
くるみん認定とえるぼし認定では、どのような点が違うのでしょうか?
ここでは、主な違いを2つ解説します。
根拠となる法律
くるみん認定とえるぼし認定では、根拠となる法律が異なります。
くるみん認定の根拠法は「次世代育成支援対策推進法」である一方で、えるぼし認定の根拠法は「女性活躍推進法」です。
また、根拠法が異なるため、認定の対象も次のように異なっています。
- くるみん認定:子育てサポート企業
- えるぼし認定:女性の活躍を推進する企業
認定基準
くるみんとえるぼしでは、根拠となる法律や認定対象との企業が異なるため、当然ながら認定基準も異なります。
くるみん認定は「子育てのしやすさ」に重点を置いているため、育児休業等取得率や法定時間外労働時間などが審査基準とされています。
一方で、えるぼし認定は「女性の活躍推進」に重点が置かれた制度であるため、男性労働者と女性労働者の処遇の差や、女性労働者のキャリアアップなどが審査の中心となります。
自社がくるみん認定とえるぼし認定のどちらを目指すべきか判断に迷う際には、Authense社会保険労務士法人へご相談ください。
企業が目指したい方向性や認定を受ける目的などをヒアリングしたうえで、取得を目指すべき認定制度についてアドバイスします。
くるみん認定やえるぼし認定を受けたい場合の流れ
最後に、くるみん認定やえるぼし認定を受けたい場合の流れを解説します。
くるみん認定やえるぼし認定を目指したい事業者様は、Authense社会保険労務士法人までご相談ください。
事業者様の希望に応じて申請する制度についてアドバイスをするとともに、認定へ向けて行動計画の策定段階からサポートします。
くるみん認定やえるぼし認定にくわしい社労士に相談する
くるみん認定やえるぼし認定を受けたい場合には、まずこれらの認定制度にくわしい社労士へご相談ください。
社労士に相談することで、認定へ向けて自社が行うべき取り組みが明確となるほか、サポートを依頼した場合には認定へ向けて二人三脚で進むことが可能となります。
ただし、すべての社労士がくるみん認定やえるぼし認定への申請に力を入れているわけではありません。
そのため、これらの認定への申請サポート実績が豊富な社労士を選ぶことをおすすめします。
相談先の社労士の選定でお困りの際は、Authense社会保険労務士法人へご相談ください。
目的や認定基準などを確認のうえ、申請する制度を検討する
社労士に相談したうえで、認定を目指す制度を検討します。
くるみん認定とえるぼし認定の両方を同時に目指す場合もある一方で、「くるみん認定だけ」や「えるぼし認定だけ」など、まずはどちらか1つの認定を目指す場合もあります。
また、くるみん認定を受けることが難しい場合には、基準がやや緩い「トライくるみん認定」を目指す場合もあるでしょう。
申請する制度を検討するにあたっては、自社が認定を受ける目的を定めるとともに、それぞれの認定制度の認定基準を理解することが必要です。
自社の現状を把握する
くるみん認定やえるぼし認定の申請にあたっては、いずれも行動計画の策定が必要となります。
行動計画の策定に先立って、自社の現状を正しく把握しなければなりません。
現状が把握できていなければ、行動計画を策定しても実効性の担保や効果測定が困難となるためです。
行動計画を策定する
現状の把握ができたら、行動計画を策定します。
くるみん認定もえるぼし認定も「行動計画を策定さえすればよい」ものではなく、策定した行動計画を実現しなければなりません。
そのため、机上の空論で数値上の辻褄だけを合わせるのではなく、その後実施することを前提に計画を立てる必要があります。
行動計画の社内周知や公表をする
行動計画を策定したら、これを社内に周知するとともに、ホームページ上などで公表します。
周知は、事業所の見やすい場所への掲示や労働者への書面の交付、電子メールの送信など適切な方法によって行います。
併せて、策定した行動計画を届け出ることも必要です。
届出先は、いずれも都道府県労働局とされています。
行動計画を実施する
続けて、行動計画を実施します。
行動計画の実施にあたっても、社労士のサポートを受けるとよいでしょう。
達成状況を適宜確認することで、達成できていない項目についての対策がとりやすくなります。
くるみん認定やえるぼし認定の申請をする
行動計画の計画期間が満了したら、⾏動計画に基づく取り組みの実施状況を点検・評価したうえで認定申請を行います。
それぞれの基準を満たしていることが確認されると、認定が受けられ、認定内容に応じたマークの使用が可能となります。
まとめ
くるみん認定とえるぼし認定の制度概要を紹介するとともに、くるみんとえるぼしの違いや認定を受ける主なメリット、申請の流れなどについて解説しました。
くるみん認定とえるぼし認定はいずれも、行動計画に基づいて行う企業の取り組みを厚生労働大臣が認定する制度です。
認定は自動的になされるものではなく、企業側が申請しなければなりません。
認定を受けることで、企業イメージが向上する点や求職者から選ばれやすくなる点、公共調達や補助金審査において加点対象となる点などが共通しています。
しかし、くるみんは「子育てサポート企業」を認定する制度である一方で、えるぼしは「女性の活躍推進をに取り組む企業」を認定する制度である点で大きく異なります。
また、くるみん認定は「次世代育成支援対策推進法」が根拠である一方で、「女性活躍推進法」が根拠法です。
さらに、根拠法や認定対象が異なるため、くるみんとえるぼしでは認定基準も異なることに注意しなければなりません。
くるみん認定とえるぼし認定の違いを理解したうえで、自社が目指すべき方向性に合った制度の認定を目指すとよいでしょう。
Authense社会保険労務士法人は、くるみんの認定申請やえるぼしの認定申請について豊富な実績を有しており、認定へ向けて二人三脚でサポートします。
くるみん認定やえるぼし認定への申請をご希望の際や、自社が申請をする制度の選定でお悩みの際は、Authense社会保険労務士法人までお気軽にご相談ください。
お悩み・課題に合わせて最適なプランをご案内致します。お気軽にお問合せください。