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社内の内部通報制度 整備されていますか?
消費者庁が、上場企業約4000社を含む1万社を対象に内部通報体制の実態を調査すると報じられました。
報道によれば、実態の調査とは、具体的には、通報に対応する担当者の有無や内部規程の策定状況などを問うアンケートを実施することを指すようです。
アンケート回答は「任意」であるとのこと。
この報道を見たときに、
- 「あれ?うちの担当者ってだれだっけ?」
- 「内部規程なんてあったっけ?見たことないな」
- 「たまにパワハラの申告があったなんて話は聞くけど、てことは、一応内部通報体制は機能しているってことかな」
- 「まずい…ちゃんと実態を把握できていない。アンケートに事実と違う回答をしたら問題あるかな?回答が任意なら、スルーが得策だな」
などと頭をよぎったという場合は要注意です。
この機会に内部通報制度について正しい知識を確認する必要があります。
内部通報制度に関しては、
- ❶法律で「やりなさい」と言われていることをやっているか?
- ❷一応やるべきことはやっているとして、内部通報が十分に機能しているか?
という2つの視点が必要です。
そして、❶については、法律の知識が必要です。
法律では、何をすべきとされているのか、ということを知ることがスタートです。
「法律で義務を課されているのは大企業だと聞いている。うちの従業員数は100人くらい。そうなると、内部通報窓口を設けるまでもないと思うし、そんなこと求められていないよね」とおっしゃるかたもいます。
たしかに、法律は、常時雇用する労働者数が300人を超えているか否かによって扱いを変えています。
法律では、常時雇用する労働者数が300人以下の事業者については、「(〇〇するように)努めなければならない」と定められていて、300人を超える事業者については「(〇〇しなければ)ならない」と定められていることと区別されているのです。
努力義務と呼ばれます。
どういうことかというと、義務を履行するという結果が求められるわけではないものの、義務を履行するよう努力することが法律上求められるということ。
〇〇をやらなかったという結果自体が義務違反にはならないものの、努力をしない場合には義務違反になることを意味します。
とはいえ、「努力をしない」という事実は少しあいまいに感じますよね。
結局、常時雇用する労働者数が300人以下の事業者については、内部通報に関して、何もしなくても問題は生じないのか、と思われるかもしれません。
でも問題は生じ得ます。
まず、消費者庁長官による助言指導、勧告の対象になるということです。
300人を超える事業者とは違い、勧告に従わなかった場合の公表の対象にはならないのですが、それでも、助言指導、勧告の対象になるということは、それ自体、事業者にとってダメージになるはずです。
また、たとえば、持株会社の場合には、常時雇用する労働者数が300人以下であることも多いと思います。
この労働者数はあくまでも法人ごとにカウントするため、300人以下であれば努力義務であるということになるはず。
ただ、ここを形式的に解釈してしまうとリスクがあります。
事業会社を含むグループ全体の規模を考えたとき、同じくらいの規模の会社の多くが、法律や国の指針に沿った対応をしているのに、それをしていないとなると、それによって自社、取引先に損害を生じさせたとき、会社としてやるべきことをやっていないという評価を受けてしまう可能性もあると思います。
ただ、常時雇用する労働者数が300人以下であるからといって内部通報制度に関し法が定める対応をしていない場合に、ここに挙げてきた以上にもっと大きな問題が生じる可能性があります。
それは、不正が発見しにくくなり、そのことが致命的なダメージにつながってしまいかねないということです。
「法律上義務になっているから」「ペナルティがあるから」ではなく、会社にとってデメリットの方が大きくなる可能性があるから内部通報制度を整え、機能する状態にする必要があるのです。
とはいえ、通常業務がある中、難しい言葉で書かれている法律の条文を読んだり、さらに細かくあれこれ書かれている国の指針を読んだりしている時間もないし、さらに、そこで何かをするべき、と書かれている内容を実際自社にどのような形で導入するのかということを検討することはとても骨の折れる作業だと思います。
さらには、体制を整えるだけではなく、それを機能させようという段階の話になると、「そもそも、『機能している』ってどういう状態をいうのか?」「他社でうまくいっている事例をうまく取り入れたいが、なかなか自社の規模に合った取り組み事例を見つけられない」などさらに問題が面倒になるはず。
そんなときは、お気軽に弁護士にご相談ください。
- 法律に基づく、でも実態にあった無理のない体制の整備
- 会社にとっても、一人一人の従業員にとってもメリットの大きい制度として機能させる工夫
- 弁護士が窓口担当になって、従業員のかたからの通報を受け付け、必要な調査を経て、各種対策(通報者対応、通報対象者対応、起きた事象の原因分析、再発防止策策定など含む)を講じる
などの業務をお任せいただくことができます。
会社の規模、現状抱えている課題感、ご予算などに応じた対応ができますので、まずはお気軽にご相談ください。
社外役員経験、内部通報窓口担当実績豊富な弁護士が対応します。
記事執筆者
高橋 麻理
(第二東京弁護士会)慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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