1.
自分を追い込んで得られた達成感 弁護士資格取得の純粋すぎる動機
まずは弁護士を目指したきっかけから教えてください。
小さい頃から野球をやり続けて、高校では甲子園を目指していて、プロ野球選手になる事が夢でした。今もまだ諦めていないですが(笑)。
高校時代に肩を痛めてボールが投げられなくなっても、痛み止めの注射を打って最後の方の試合には出場するくらい打ち込みましたね。
大好きな野球が大嫌いになるくらい厳しい部活だったのですが、この経験を通じて得られた達成感はとても爽快で、誇りに思えたのです。
大学に入学しても高校時代のような達成感を味わいたいと考えました。
そこで、最難関の国家資格である司法試験という高い壁を乗り越えたら、高校時代と同じような達成感が味わえるかな、という動機で司法試験を目指したのです。
ちょっと不純な理由かもしれませんね(笑)。
逆にとても純粋だと思います。ポジションはピッチャーだったのですか?
ピッチャーが多かったです。今の私は弁護士統括として全体を見る役割なのですが、視野を広く持つことが求められるピッチャーの経験が活きていますね。
2.
パラリーガルの業務を理解し、ワンチームの大切さを学んだ新人時代
ファーストキャリアでは弁護士法人 名川・岡村法律事務所に入所されます。決め手はどこにありましたか?
スペシャリストよりもゼネラリストになりたいと思っていました。
企業や人が抱える様々な悩みに向き合うために、どんな案件も手がけたかったのです。そこで、法人でも個人でも案件を取り扱う、業務の幅が広い法律事務所を選びました。
また、所内の仲間とコミュニケーションをとる事で弁護士としても成長できると思っていたので、全員の顔が見える規模感も理想でした。
案件の幅とコミュニケーションを重視されていたのですね。
そうですね。最終的に決めた理由は風通しの良さでした。鈴木 勝利所長は29期、当時の年齢は60代後半の大先輩でしたが、若手の弁護士は気さくに話しかけて所長も笑っていて。楽しそうな事務所だと思って決めました。
どのような新人時代を過ごされたのですか?
入所して最初の1か月は弁護士としてではなく、パラリーガルとして仕事をしました。
パラリーガルの方がどういうタイムスケジュールで仕事をするのかわからないと、逆算して仕事の依頼ができない、という考えが事務所の中にあったのです。
2か月目から案件に入るのですが、お客様からお金をいただく以上プロフェッショナルであり、年次に関係なく専門家である。という考え方でした。
最初からクライアントとの打ち合わせも任されますし、翌日の尋問に突然1人で行く経験もしました。実力はすごくついたと思います。
それは鍛えられそうですね。パラリーガルとして仕事をされたご経験は今でも生きていますか?
今でも生きています。
例えば裁判所に提出する書面であっても、自分が起案して終わりではなく、裁判所に成果物として納品して完成です。
パラリーガルの方の作業を見越していつまでに自分が起案を終了しなければいけないか逆算しないといけないのです。これができないとお客様や裁判所と約束した期限に間に合わなくなります。
業務を理解することで、パラリーガルの方もチームの一員として活躍しよう、という意識が芽生えますよね。
どういう種類の案件に取り組まれていましたか?
学校法人の案件が多かったです。入所してしばらくすると、教職員の労働時間に関する問題がクローズアップされるようになりました。
当時の学校法人は労働法に関する意識があまりなく、36協定がない事も一般的だったのです。そこから労基署が入るようになり、行政対応に取り組んできました。
学校の労務に関しては一通り経験できたので、労務分野については得意意識を持っています。
学校の先生方も過酷な労働条件を訴えたり、残業代請求をするような状態だったのでしょうか?
私が見てきた範囲では、教職員の方々から「どうやったらもっと生徒と触れ合えるんですか?」「部活をやりたくて教師になったのに」と言われるようなケースが多く、残業代請求という論点に絡むことはありませんでした。行政対応が中心です。
そうだったのですね。特にどのような対応を意識されていましたか?
行政の指導は受け入れて粛々と対応を進めるのですが、学校の方の協力も得なければいけません。
元々、36協定がないような学校側の実体があって、ある意味聖域だった所に労基署が入った、という背景を理解した上で学校の方に説明をしていく事で円滑に進めることができました。
杓子定規な言い方をしたら学校の方も前向きには受け入れていただけなかったと思います。業界の事情を理解している事は大切です。
3.
弁護士はビジネスを前に進める存在
Authense法律事務所に移られたきっかけについて教えてください。
あまりお世辞みたいになるのも嫌なのですが、元榮さんがいるからこの事務所を選びました。時代の先端を走る景色を自分も一緒に見てみたかったのです。
元榮さんと初めて会ったのは面接の場だったのですが、途中から「君はうち向きだ。来た方がいいよ、絶対合うから」と自信満々に言い切っていました。
面接の最後に握手を求められて、ギュッと握手して「もう一緒にやるから」って(笑)
この人新しいな、この人の元で働いてみたいな、とすごく思いましたね。
Authense法律事務所に移られてからは新しい案件にも関わられましたか?
ベンチャー・スタートアップの方々とお仕事をさせていただく機会はとても増えました。
経営にダイレクトに携わる、自分のアドバイスで経営の浮き沈みに直結するような事案も出てきます。
前の事務所では、「弁護士がストッパーになってはならない、ビジネスを前に進めることを意識しなさい」と言われていたのですが、Authenseに移って経営に直結するプロジェクトに関わるようになって、この言葉の大切さを強く感じるようになりました。
ベンチャースタートアップの方々とコミュニケーションを取るために心がけたことはありますか?
一般的にクライアントの立場だと弁護士は信頼感、安定感があって「先生」というイメージがあると思います。
一方、自分は普段から若々しく、ハキハキ、はつらつと振る舞うことを意識しています。「面白そうな若者に教えてやるか」、「若い弁護士に今のうちからつばをつけといてやるか」というスタンスで接していただけるので、色々な話を伺えます。
お話を伺ううちに本音が聞けて、業界の抱えている問題も理解できるのですよね。そこで得られたお話を別の方にぶつけてみる事で、また新しい課題も伺える。良い流れに繋がります。
やはり業界事情を知ることを大切にされているのですね。現在は弁護士統括をされています。入所されてからはどのようにマネジメントに関わって来られましたか?
前の事務所で7年ほど経験を積んでいましたが、入所した最初のうちは若手弁護士と全く同じように、自分中心で案件を処理していました。
そこで多少評価していただいたのか、入所して4か月目からはユニットリーダーになりました。チームを動かしていく立場です。1年後には労働分野を担当する分野マネージャーに、その1年後に弁護士統括になりました。私が直接マネジメントしている弁護士は9人です。
統括をされている立場から見て、Authenseの企業法務の強みはどこにありますか?
バックグラウンドの多様性です。若手、弁護士歴20年以上という大ベテランの方、元裁判官の方、他の事務所で薫陶を受けて成長してきた方など様々なメンバーが揃っています。
若手にとっては成長の機会になりますし、クライアントの問題に適したメンバーのアサインができます。
また、企業法務と一般民事がクロスする案件もワンストップで解決できる点は強みです。顧問先の代表の方が、誰にも相談できずに離婚問題に悩んでいたり、従業員の方が刑事事件で捕まったりするようなケースも割とあるのですよね。
また、IPOを目指すベンチャー企業の方も多いので、ぜひ伴走させていただきたいです。グループ会社である弁護士ドットコムのIPOも我々が担当しました。ベンチャーのお客様にとってこの実績は安心感につながると思います。
4.
今津先生が大切にしていること、これから
今津先生の「仕事の流儀」はどこにありますか?
とにかくスピード感を大事にしています。我々の成果物、起案の良し悪しは一定の合格点を超えた後は弁護士でもわかりません。一般の方だと余計にわからないはずです。
であれば、フットワークの軽さや数日でアウトプットが出る、という点がお客様に提供できる価値に繋がります。
ビジネスを前に進めるためにも、スピードは重要です。目に見えて「早いなこいつ」と感じていただけるように意識していますね。
先ほどの若々しさにもつながるお話ですね。では、最後に今津先生の展望について教えてください。
AuthenseをTMI法律事務所のような事務所にしたいと考えています。
TMIはこの10年、20年の間に一気に成長して今はトップ5に入る事務所です。しかも、企業法務の事務所として有名になった、弁護士にとっても憧れの存在です。
弁護士からもAuthenseすごいですねと言ってもらえて、企業法務をやりたい就活生に選ばれる事務所になってほしいです。
お客様に対しても説明不要で伝わる事務所になったらいいなと思っていますし、多分なれるはずです。
私個人としても今津という名前だけで余計な説明がいらない、そんな弁護士になれたらいいですね。